令和に復活!? AE86に突如誕生した「新グレード」G16Eがヤバすぎるんですけど!!

NAのG16Eは思った以上にしつけのいいフィーリングだった

 ステアリングコラムのキーホールにキーを差し込み右に2クリック捻る。なんか久しぶりだけど、ちょっと前までは当たり前だったエンジン始動の儀。“キュキュキュ”と軽快にセルモーターが回り、いとも簡単にG16Eエンジンに火が入る。

 当時のハチロクって、“ギュン、ギュン、ギュイイイイイ~ン”ってな感じで、ちょっとセルの回りが重く、ひと呼吸おいて4A-Gエンジンが目を覚ます印象だったから、一瞬“おっ?”と思った。3気筒NAエンジンはアイドリングが1000rpmとちょっと高め。やっぱりこれ以下だとちょっと振動が大きくなる。

ナルディのステアリングはノンオリジナルだが、メーターパネルやインパネはオリジナルのままで、経年劣化を感じさせない美しさだ
ナルディのステアリングはノンオリジナルだが、メーターパネルやインパネはオリジナルのままで、経年劣化を感じさせない美しさだ

 ブリッピングするとアクセル操作に対するエンジンの反応はシャープで、特にアクセルオフ時の回転の落ちがストンと心地いい。敢えてスロットル制御を入れていないとのこと。エンジン本来のレスポンスが心地いい。

3気筒ならではの振動は若干感じるが、不快なほどではない。最高出力の114pは7000rpmで発生するが、トルクは3000~4000rpmがオイシイゾーン
3気筒ならではの振動は若干感じるが、不快なほどではない。最高出力の114pは7000rpmで発生するが、トルクは3000~4000rpmがオイシイゾーン

 なるべくコストをかけず、つまりコンバージョンキットとして市販化が実現した際にはお安く提供できるよう、極力エンジン内部には手を入れていないのだという。えっ? ターボだったG16EをNA化しているのに、カムプロファイルはそのままで、ピストンヘッド形状も変更なし。さらに圧縮比もターボ仕様のままって、それで大丈夫なのだろうか?

 G16Eは87.5×89.7mmのロングストローク。さらにターボエンジンにもかかわらず圧縮比は10.5と高いため、NA化に際してもそのままで対応できたのだという。ちなみに4A-Gは81.0×77.0mmのショートストロークで圧縮比は9.4。ターボのG16EのほうがNAの4A-Gよりも圧縮比が高いということに40余年の内燃機関技術の進化を実感する。

 横置き用のG16Eを縦置きのハチロクに搭載するにあたり、クラッチハウジングを新設するとともにハチロクの車体メンバーと干渉するオイルパンの形状を変更し新設。4A-Gよりも背が高いため、エンジン下部に置かれるバランスシャフトを廃止してハチロクのエンジンルームに収めている。エンジンマウントブラケットは新設したが、車体側のサスメンバーやマウントはそのまま形状変更することなく流用した。

最新エンジンでハチロクの新しい魅力を味わい尽くす!!

 クラッチペダルは重くもなく軽くもなく、ミートポイントもつかみやすい、本当に普通の感覚だから、何も身構えることはない。5速MTは今どきのガチっとしたショートストロークのタッチと比べると、ややシフトストロークが長いけれど、ハチロクのMTってこんな感じだったし、オジサン世代には懐かしい感触だ。

高回転型の4A-Gは低いギアでエンジンを引っ張る乗り方だったが、G16Eはテンポよくシフトアップして軽快に走らせるタイプだ
高回転型の4A-Gは低いギアでエンジンを引っ張る乗り方だったが、G16Eはテンポよくシフトアップして軽快に走らせるタイプだ

 1速に入れてスタートすると、ブオオオオオと野太い排気音とともにシュッとエンジンは吹け上がる。ちょっと3気筒独特の振動も感じるけれど、これはエンジンの「鼓動」ということで不快ではない。

 4A-Gとは対照的なフィーリングだ。低速トルクが薄く、低めのギアで4000rpm以上をキープして“クォーン!”と吹け上がるとともにトルクが盛り上がる4A-Gは、その「カムに乗った」回転フィールが魅力だったが、G16Eは5000rpm以上回してもトルクが頭打ちになってしまうので、むしろ早めのシフトアップで3000~4000rpmあたりのトルクを活かして走るのが気持ちいい。このあたりが現代的ドライブフィールともいえる。

 低い回転からトルクが立ち上がるので、アクセルワークでの挙動コントロールに自由度が高く、コントロールの幅が広がった印象だ。古いハチロクの車体でも、このパワーとトルクだったらちょうどいい。

 とはいえ敢えて言えば、もうちょい高回転までトルクがついてくるとエンジンを回して吹け上がりを味わう楽しさが加わるのだが、そこはユーザーがそれぞれハイカムを組むなど「いじる楽しさ」も含めて手を入れればいい。あくまでも素材としての高い完成度をトヨタが提供してくれるということ。

旧車を新しい魅力とともに楽しむという提案にトヨタ自動車本体が取り組んでいるというところに新たな可能性を感じる!!
旧車を新しい魅力とともに楽しむという提案にトヨタ自動車本体が取り組んでいるというところに新たな可能性を感じる!!

 今日の時点ではまだ「コンセプト」としてワンオフ製作での提案だが、トヨタは本気だ! さあ、おいくらだったら買ってみたいですか?

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