なぜニュルでなくてはならないのか?
2008年、レクサス LFAでニュルブルクリンクの4時間耐久(NLS、旧VLN)、そして24時間耐久レースに参加したことがある。4時間では完走してクラス優勝を果たしたものの、24時間ではトラブルに見舞われ、入賞には届かなかった。
しかし、その経験で得たデータとフィードバックは、その後の車両開発に大いに役立ったはず。まさにニュルならではの“血の通った開発現場”であった。
しばしば、「なぜ日本のサーキットや近代的な欧州サーキットではなく、ニュルでなければならないのか?」と問われる。たしかに、平坦で広くて安全性が高く、タイムが出やすいサーキットは数多くある。しかし、そこで得られるデータやフィーリングは、部分的な性能に過ぎない。
ニュルが他に代えがたいのは、複合的な試験環境を一周の中で同時に試せる点にあるのだ。
不確定な要素を、1回のラップで完結できる場所は、世界中を探しても非常に限られる。だからこそ、欧州メーカーはニュルを基準とし、タイムを競い、そして「ニュルで走れること」を誇るのである。
【画像ギャラリー】まさに神々の試験場! 最速はただの勲章じゃない! クルマの完成度を丸裸にする珠玉の聖地ニュルブルクリンク(16枚)画像ギャラリー魅惑のサーキット ニュル最速の称号に魅せられたものたち
かつて、F1マシンがこのニュル北コースを駆け抜けた時代もあった。だが、悲劇もあった。1976年、当時ファラーリF1チームのエースドライバーだった故 ニキ・ラウダが大事故に巻き込まれ、大火傷を負ったことはあまりにも有名である。その後、F1はやがてGPコースへ移り、あまりに危険な北コースでのF1開催は幕を閉じた。
現在でも、多くのメーカーが“ニュル最速チャレンジ”を宣伝文句に使う。量産車、ハイパーカー、EV、ハイブリッド、スポーツモデル、そのすべてが、ニュルで鍛えられ、そこで得た数値と実績をもって世間にアピールする。
ニュルで速いラップを刻むことは、単なる速さ自慢ではない。クルマの完成度、開発の深さ、制御・剛性・信頼性など、あらゆる次元で真に戦える、信頼できることを証明する公的認定のようなものなのだ。
こうして長々と語った理由はひとつ。ニュルの価値は、実際に行かなければ、見聞きするだけでは理解できないからである。
「ニュル最速」「サーキットスペック」「開発協力」「ラップタイム」そういったキーワードをよく目にするが、それは表層に過ぎない。本質はもっと深く、複雑で、過酷だ。だからこそ価値がある。
さらにいえば、ニュルは“過去と現在と未来”をつなぐ場所である。古城と森に囲まれたルート、戦後のモータースポーツ黎明期、現代の量産スポーツカー、そしてこれから出てくるEVやハイブリッド車。欧州車だけでなく国産車や近年は韓国、中国車もこの環境での評価を実施し磨きあげている。
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