北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。第5回は、エゾタヌキです。
童謡の『証城寺の狸囃子』やおとぎ話の『カチカチ山』など、日本人にはおなじみのタヌキですが、実際に野生のタヌキを見たことがある方は少ないのではないでしょうか。
とても警戒心の強い動物なので、長年、動物写真を撮り続けている圭さんでも、なかなかお目にかかることは難しいようです。
今回は、そんなタヌキが厳寒の雪山で過ごす貴重な姿を紹介します。
写真・文/佐藤圭
冬ごもりのために秋にドカ食いしてます
北海道に棲むエゾタヌキは冬眠しません。
ただ、北海道の冬は寒さが厳しくエサが乏しいので、巣穴の中にこもりがちで、数匹の集団で寄り添いながら暮らしているようです。
もしかすると、半分、冬眠のような状態で団子になって寝ているのかもしれません。
たまにポカポカ陽気の日には、日向ぼっこをしに外に出てきます。
エゾタヌキは、冬が来る前にたっぷりと栄養を摂って皮下脂肪を蓄え、冬の間は、その皮下脂肪を消費して、エサの少ない季節を乗り越えます。
冬ごもり直前のエゾタヌキの体重はそれまでの1.5倍になるそうです。この頃は、コロコロと太ってヒグマの子供と見間違えるほどですが、春になると、まるで別の生き物のように細い体に戻ります。
真冬に里山で撮影していたとき、吹雪いていて遠近感が狂っていたせいか、太ったタヌキをヒグマと見間違え、大いにビビったことがありました。
エゾタヌキの繁殖期は、キタキツネよりも遅く、夏の初めころです。
春になると、集団行動していた巣穴から出て、パートナーを探し始めます。その間、子育てするための安全な巣穴を見つけるですが、臆病で慎重なエゾタヌキは、キツネよりも巣穴探しにたっぷり時間をかけるのかもしれませんね。
タヌキは、英語でRACOON DOG。RACOONはアライグマ、DOGは犬。英語だと、タヌキは「アライグマ犬」になります。
生物学的には、食肉目イヌ科タヌキ属に分類され、湿地や森での生活に適応したイヌの仲間です。
イヌが大好きな僕は、タヌキも大好きです。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。フランスのアウトドアブランド「MILLET」のアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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