レブル1100に乗って伝説の名車VMAXを思い出す
レブル1100をどう例えれば分かりやすいかと考えるとヤマハのVMAXに近いと感じた。Vブーストのない国内仕様VMAX1200とライディングモードをSPORTにした際のレブル1100はよく似ている。低回転域のドロドロとしたエンジンフィーリングと高回転パワーが楽しめる特性で、共にネイキッドモデルのようなハンドリングを持っていることからコーナーリングも楽しめてしまうのだ。
そして、レブル1100ともう一台似ていると感じられるモデルがドゥカティにある。レブルのエンジンは外観こそ並列2気筒エンジンだが、中身はクランクシャフトを90度捻っており、90度Vツインエンジンと同じ爆発タイミングとなる。同様のエンジンを搭載するドゥカティのクルーザー、ディアベルシリーズとも近い存在で、レブル1100はスポーティなロー&ロングというジャンル分けができるだろう。
一方で、レブル1100は他のクルーザーモデルにはないDCTがセールスポイントだ。これは6速ミッションをクラッチ操作なしで変速できるメカで、ギアチェンジも自動でやってくれる。DCTはライディングモードとも連動しており、SPORTだとシフトアップを高回転まで引っ張るようになり、RAINでは低回転からサクサクとシフトアップしてくれる。ホンダは、DCTを10年以上もアップデートし続けており、“マニュアル信者”の筆者も認めざるを得ないくらいフィーリングは自然なものになっている。
レブルのコンセプトは気軽さにあり、1100も手頃なプライスで完売
中高年世代にとってレブルと言えば、1985年にデビューした空冷並列2気筒のエンジンを搭載した250ccクルーザーの印象が強い。実はこの空冷レブルはアメリカでは2016年まで存在しており、2017年からの現行レブルシリーズと地続きの関係にある。
開発者に1980年代当時から現代に共通するレブルのコンセプトを聞いたところ「レブルはその時代の若者にちょうどいい、身の丈にあった価格、車格を大事にしてきたモデルです。アメリカでは自宅の庭で練習して免許を取りに行くスタイルが一般的で、そういった用途にもレブルは使われています。安くてシート高が低くて安全なバイクというところが支持されてきました」という、まさに日本でレブル250が売れている理由と一致した回答。時代を超えて初心者に支持される存在がレブルという訳だ。
そして今回試乗したレブル1100DCTは、大型初心者のニーズを捉えたモデルと言えるだろう。DCTによるイージーさは初心者だけでなく、そろそろ楽をしたいというベテラン層の引き合いも多い。価格もDCT付きで121万円、STDは110万円と比較的リーズナブルだ。
レブル1100シリーズは国内での年間販売計画3000台に対して、DCT仕様が1600台、MT仕様が1000台、計2600台の受注が3月上旬の時点で入っており、現在は計画台数をクリアしているという。また、海外を含めると年間で1万台が計画されており、この数字に既存のシリーズを足すと2021年は単純計算で3万8000台に上る。
さらにレブル250の販売が日本ではまだ伸びていることから、シリーズ合計で年間4万台を達成する可能性が高い。初代モデルからのコンセプトで初心者に寄り添いながら現代のテイストを加味したレブルは、今や一大勢力といえるブランドに成長つつある。
コメント
コメントの使い方