■「これは人間が運転していません」と周囲に示す機能が必要
ホンダではかねてより自動運転のプロトタイプ車両に対して、自車の行動(運転操作)を白、青、緑のLEDランプを外向けに発光させて周囲に知らせていました。
こうしたコミュニケーション手法は相手が他車ドライバーだけでなく、歩行者や二輪車、自転車であっても機能するため非常に有効です。
現状、国土交通省では車体後部に自動運転車両であることを示すステッカーを貼ることが定められましたが、車体に一カ所、それもサイズが小さいため運転中の他車ドライバーからは認知されづらい状況です。
システムは優秀ですが、万能ではありません。同時に、システムが代行する範囲はやはり限定的で、ドライバーはシステムからの運転再開の要求である「TOR(Take Over Request)」に従わなければなりません。
車載センサーの認識範囲でのみ、正しい車両制御が行われる。これはわかりやすい部分でありますが、システム側からドライバー側へ運転操作の再開を要求する状況を理解した上で自動化レベルの各技術を使う。ここも非常に重要です。
これから10年、20年と過ぎてゆくとレベル3やレベル4の技術が一般道路でも使用できる日がくると言われています。そうなると他車だけでなく、歩行者や自転車とのコミュニケーションも重要視されていくでしょう。
信号機のない横断歩道では歩行者が優先されることはご存知の通りです。ただ、実際には停止しない車両も見受けられます。一方で、歩行者横断のため一時停止した車両に後続車が追突するという、いたたまれず痛ましい事故も後を絶ちません。
自動化レベル4以上では、横断する歩行者、停止する車両、後続車のすべてに対して「横断歩行者がいること」が車々間通信や路車間通信によって意思の疎通が図られます。たとえば歩行者にはスマートフォンなどを通じて、各車両にはナビ画面や音声やディスプレイ表示によってそれらが伝えられ円滑な交通が期待できると言います。
自動運転車両と手動運転車両の相性は、ここまま何も手段を講じなければ抜本的な改善は期待できないでしょう。
しかし、車両の普及に合わせて間合いのはかり方やコミュニケーションのあり方が議論され、対処技術の実装が進めば相性は抜群に高まります。そのためにはまず、人と車両、車両と車両の意思表示が大切です。
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