「自動運転車両」は手動運転車や歩行者と相性最悪なのか?【自律自動運転の未来 第8回】


■「完全自動運転対応機能」…って…

 しかしながらアメリカでは、とある「テスラ」のドライバーが自動化レベル2技術であるにも関わらず、走行中に運転席から離れて事故を引き起こしたとの報道が後を絶ちません。ただし報道によれば、これはドライバーの過信と誤解が招いた不幸な事故であり、車両や自動化レベル2技術そのものに疑問符が付いたわけではありません。

 とはいえ、頻発する事故を見る限り、テスラ社にも問題があるように思います。各モデルが実装する現時点での運転支援技術を、あたかも自動運転技術であるかのように紹介する手法(例/「テスラの新車は、現在のオートパイロット機能や将来利用可能となる完全自動運転対応機能を提供できる先進のハードウェアを標準装備」/テスラのHP文言ママ)には、やはり賛成できません。搭載技術で「実現可能なこと、できないこと」を明確にすることが普及期の今こそ大切です。

 こうした状況を踏まえ、この先、自動化レベル3以上の車両が増え出すと、手動運転車両との混合交通において考慮すべき点が発生します。これまでになかった新たな議論です。その課題はドライバーとシステム、その両方に発生します。
以下、現時点での自動化レベル3技術と、数年先に実用化される、より高度な自動化技術を例に考えます。

■システムに「配慮」って出来るのか…?

 ドライバー側の課題は、手動運転車両に対する間合いのはかり方です。システムが行う車線変更は非常に滑らかで快適です。

 一方、そのタイミングは万全とはいかず、後続車両が思わずブレーキを踏んでしまう、そんな状況にも出くわします。

 ドライバー主体の運転であれば、”ゴメンナサイ“の意味を込めて後続車に手を挙げるなり、ハザードランプを点滅させて意思疎通を行えば事なきを得ることが多いと思います。

 しかし、システム主体の運転時には、こうした安全確保もシステム側の責任という前提があるため、ドライバーが他車(この場合は後続車)への思いやりの心、いわゆる配慮が欠けてしまうことが考えられます。

 システムが車両制御を行っている最中でも、ドライバーはいつでも運転操作に介入できますが、そもそも自動化レベル3が実行中の時、どれだけ同乗者であるドライバーが後続車への配慮を行えるのか、ここは判断が難しいところです。

トヨタもレクサスLSとMIRAIに、進化型の自動運転(運転支援)技術を搭載して発売。ただしこれは「レベル3」ではなく(あえての)「レベル2」技術

 システム側の課題は、手動運転車両に対するコミュニケーションのあり方です。システムが行う「走る、曲がる、止まる」という運転操作はどれも優秀です。しかし、他車から見ると自動運転車両であるかどうか瞬間的に判別できません。ドライバーが運転しているのか、システムが運転しているのか。この周知この先、大きな課題になると筆者は考えています。

 とはいえ、他車からはどちらが運転操作の主体であるかどうかは大きな問題ではないように思えます。ただ、一般的にドライバーは、可能な限り周辺の車両などとコミュニケーションを取りながら走ります。その際、コミュニケーションをはかる相手(他車)が人なのか、システムなのか、ここは自身の運転操作にも少なからず影響を与えます。

次ページは : ■隣のクルマのドライバーがDVDを見ていたら…