北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。お待たせしました。夏編の再開です。
第23回は、「雪の妖精」の愛称で親しまれているシマエナガを紹介します。
北海道にはどこにでもいるんですが、小さくて素早いので写真に捉えるのはとても難しい鳥だそうです。粘り強さが信条の圭さんが粘りに粘って撮った貴重なアルバムです。
写真・文/佐藤圭
何百枚撮って正面顔は1枚あるかないか
今回お送りするのは、北海道に生息する野鳥の中では、圧倒的な人気を誇るシマエナガです。「雪の妖精」「マシュマロ」「雪ん子」など、さまざまな愛称で呼ばれていて、道内ではこのシマエナガをモチーフにしたお菓子、グッズがたくさん売られています。
シマエナガは、本州に生息するとても小さな野鳥・エナガの亜種です。エナガとシマエナガの違いは、エナガは、顔に黒い線が入りますが、シマエナガは真っ白です。
首のないまん丸な体にフワフワな羽毛、そこにちょんちょんちょんと黒ペンで点を描いたような目とくちばしが、なんとも言えない可愛さなのです。特に正面から見る顔が愛くるしくてたまらないです。
体長は14cmとスズメくらいの大きさですが、半分は長い尾羽なので、体そのものはとても小さく、体重は8gと、20gのスズメよりずっと軽いです。
エナガという名前もこの長い尾羽に由来します。小さな体と長い尾羽が、柄杓(ひしゃく)のように見えるので、柄が長いエナガと名付けられたようです。
道外の方はとても珍しい鳥だと思っているかもしれませんが、北海道ではとてもポピュラーな野鳥です。生息地は北海道全域で、森や林はもちろん近所の公園や防風林でも見られます。札幌の大通り公園なんかにもいるみたいですよ。
とはいえ、とても小さいうえに動きが素早いので、撮影するのは至難の業です。小鳥といえども野生の動物なので、こちらから近づいていくとあっという間に逃げてしまいます。
近くで撮影するためには、あらかじめシマエナガたちの行動を観察し、この木に来るだろうと狙いをつけて、その側でじっと動かずに待ちます。
そして、近くに来たら、ひたすらシャッターを切り続けます。一番かわいく見える正面顔は、数百枚に1枚あるかないか。狙うとなると、なかなか難しくて、めったに見られないという意味でも「妖精」なのです。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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