北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第43回は、日本で一番早く紅葉する大雪山黒岳の絶景をお届けします。
日本列島の南半分では、まだ30℃を超える日もある9月中旬、北海道の山々では、見事な紅葉が楽しめます。
写真・文/佐藤圭
大雪山の紅葉の主役は高山植物!
例年9月に入ると、日本一早い紅葉が始まります。
日本一早いというくらいですから、場所は当然、北の大地・北海道で、その背骨のようにそびえる大雪山系の北の玄関口となっている黒岳から、日本列島の紅葉はスタートします。
黒岳の紅葉の主役は、本州以南のモミジやカエデではなく、高山植物である低木のウラシマツツジ、ウラジロナナカマドで、山の斜面を鮮やかな赤に染め上げていきます。
北海道では、燃え上がるような真っ赤な紅葉が見られる場所が少ないので、層雲峡温泉からロープウェイとリフトで7合目まで上れる黒岳は、紅葉狩りの名所として、とても人気があります。
すでに、山頂の紅葉はピークを過ぎて、今は、リフト降り場の黒岳7合目がきれいに色づいています。
1000mを超える高地では、紅葉は赤や朱色がですが、少し標高が下がると、ダケカンバやウコンウツギなどの黄葉も多くなり、鮮やかな黄色と赤、そして常緑樹の緑が混ざりあって、見事な色彩のハーモニーを見せてくれます。
春に日本列島を南から北上する桜前線とは逆に、紅葉前線は、この大雪山黒岳から始まって、10月初旬には北海道の平地に下り、徐々に列島を南下して、12月には鹿児島まで到達します。
今年の紅葉は、いかがなものか? 紅葉の鮮やかさは、日照時間、日中の寒暖差、風など色々な要因で決まります。
夏の異常なほどの猛暑がどう影響するのかはわかりませんが、これからの冷え込みに期待しましょう。
黒岳は、9月の後半には雪が降り始め、10月には雪に閉ざされます。北海道の山の秋は、本当に短いのです。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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