ジャンルを切り拓いた「挑戦車」があったから今がある!! 時代を作った名車たち 4選

ミニバンの既成概念を覆した ホンダ オデッセイ

チャレンジャーがいたからこそ今がある! 新ジャンルを開拓した名車たち
6、7人乗りで乗用車感覚で運転できる新感覚のクルマとしてデビューしたオデッセイ。低床・低全高スタイリングが功を奏し、ワンボックス敬遠派も取り込んでの大ヒットとなった

 オデッセイが登場する以前から、他社からすでにミニバンとカテゴライズされるクルマは販売されていたことから、オデッセイがミニバンのパイオニアと言われると異議ありの人もいるかもしれない。

 しかし、それらは既存のステーションワゴンの車高をアップしたものだったり、キャブオーバータイプのFR駆動のワンボックスワゴンをベースにしたものばかり。スタイリングもどこか”もっさり”したものが多かった。

 そんななか、乗用車のプラットフォームを使用して登場したのがFF駆動のオデッセイだ。最大の特長は、プラットフォームをアコードと共有することでいまだかつてない底床化を実現させたこと。それによって広い室内空間を確保することに成功した。

 その広い室内空間を生かし、当時のアメリカのミニバンに多く見られた、3列シート&ウォークスルーを取り入れた点も画期的なものだった。

 こうして見た目と走りはセダン、居住性はワンボックスカーと、今までの国産ミニバンにはなかった一挙両得的なミニバンが誕生したのだ。

 これがユーザーの目には新鮮に映り、たちまち大ヒット! 「ミニバンなのにカッコいい!」と、今までミニバンを敬遠していたユーザーたちもオデッセイに飛びついた。

 こうして初代オデッセイは、累計43万3028台を売り上げた。この時ホンダは、業績不振に喘いでいたが、オデッセイの大ヒットで業績は回復。オデッセイは、ミニバンのパイオニアであり、ホンダの救世主でもあったのだ。

 このオデッセイの成功を受け、ホンダは1996年にステップワゴンを発売。こちらも初代は47万6611台も売り上げるほど大ヒットした。これを追うようにして各社から同様なFFミニバンが開発・販売され、ミニバン市場が活況を呈することになった。

 しかし、その人気にも陰りが見え始め、代を重ねるごとに販売台数は低迷……。ついに、2021年10月でオデッセイは生産終了を迎えることになり、ミニバンのパイオニアは、5代目で消滅してしまった。

量産ミドシップカーのパイオニア トヨタ MR2

チャレンジャーがいたからこそ今がある! 新ジャンルを開拓した名車たち
誤解している人は意外と多いようだが、MR2はミッドシップ(Midship)+リアドライブ(Reardrive)ではなく、実は「Midship Runabout 2sheeter」の略

 ミドシップレイアウトはスーパーカーの専売特許というイメージを覆したのが1984年に登場したトヨタ MR2。前年の1983年に開催された東京モーターショーでは「SV-3」という名称で出展されていたが、その時はほとんどの来場者が市販化はないだろうと思っていた……。ところがその翌年、SV-3はMR2と名を変えてて世に送り出され、日本中を驚かせた。

 低く短いフロントノーズ、リトラクタブルライト、ミッドに積まれたエンジンに空気を送り込むためにサイドのエアダクトが設けられるなど、ミドシップならではのスタイリングを持つMR2は、見た目も特異なものだった。

 1984年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、さらに1985年には北米でもカー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、国内だけではなく海外からも注目を集めた一台だった。

 搭載エンジンは、登場直後は130psのAE86と同じ1.6リッター直列4気筒の4A-Gだったが、1986年の改良で145psを発生するスーパーチャージャーを持った4A-GZE型へ。

 FRスポーツカーが減少の一途をたどるなかでの登場ということで、FRファンがの興味を惹きつけ、MR2への乗り換え組も現れた。

 しかし、ドライバビリティに関しては、曲がりやすいという評価を受けるいっぽうで、スピンしやすく扱いづらいと酷評されるなど、賛否両論の多いクルマだった。

 1989年には2代目のSW20が登場し、その後は4度に渡る改良が実施されてV型まで進化したものの1999年に姿を消すことに。その跡を継いだMR-Sは不発に終わり、2007年にミドシップレイアウトの開拓者の系譜は断たれた。

 MR2登場後には、ホンダ NSX、軽スポーツ唯一のミッドシップスポーツ ホンダ S660など、ミドシップレイアウトのクルマは散発的に登場しているものの、その数は極めて少ない。

 しかし今、ミドシップ・スポーツの「MR2」の復活が噂されているという、往年のMR2ファンが歓喜するような情報も飛び交っている! 果たして、トヨタが再びミドシップレイアウトにチャレンジするのか? その動向からしばらく目が離せそうにない。

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