カローラクロス ワゴンRスマイル…… 隠れヒット車が本家より人気のワケ

■トヨタ ヤリスクロス

 ヤリスクロスは2020年8月に発売されたコンパクトSUVで、2021年には1か月平均で8667台が登録された。

 ベースとなったコンパクトカーのヤリスは8455台だから、ヤリスクロスは、派生車種でありながら販売が好調だ。

ヤリスクロス(179万8000円~281万5000円)…全長4180mm×全幅1765mm×全長1590mm、ホイールベース2560mm、2021年12月販売台数:9450台
ヤリスクロス(179万8000円~281万5000円)…全長4180mm×全幅1765mm×全長1590mm、ホイールベース2560mm、2021年12月販売台数:9450台

 売れ行きが伸びた理由はカローラクロスと同様で、SUVというカテゴリーの人気が高いことだ。

 それに加えてヤリスクロスは全長を4180mmに抑えたから運転しやすく、外観のデザインは力強い。後席と荷室は狭いが、ヤリスに比べれば少し余裕がある。

 高人気の背景には、残価設定ローンの残価率が高く、返済額を安く抑えられることも影響した。ヤリスクロス1.5Zの価格は221万円で、3年間の残価設定ローンを組むと、月々の返済額は均等払いで4万100円になる。

 一方、コンパクトカーのヤリス1.5Zは、価格が197万1000円だが、ヤリスクロス1.5Zと違ってアルミホイールはオプション設定だ。そこでアルミホイールを加えて条件を合わせると、総額は205万3500円に高まる。それでもヤリスクロス1.5Zよりは15万6500円安い。

 ところが残価設定ローンの月々の返済額は、ヤリス1.5Zが4万4000円で、ヤリスクロス1.5Zの4万100円を超えてしまう。

 ヤリスクロスはSUVとあって中古車になっても好条件で売却できるから、前述の通り残価率が高く、残価設定ローンを利用すると返済額がヤリスよりも安くなる場合があるのだ。

 今は残価設定ローンの利用者が増えたので、残価率の高さと返済額も売れ行きに影響する。

 人気車は返済額が安くなって売れ行きをさらに伸ばし、不人気車は割高だからますます低迷する。つまり残価設定ローンは、販売格差を拡大させるのだ。

■スズキ スイフトスポーツ

スイフトスポーツ(201万7400円~208万8900円)…全長3890mm×全幅1735mm×全高1500mm、ホイールベース2450mm、2021年12月販売台数:1075台
スイフトスポーツ(201万7400円~208万8900円)…全長3890mm×全幅1735mm×全高1500mm、ホイールベース2450mm、2021年12月販売台数:1075台

 スイフトスポーツは、コンパクトカーのスイフトをベースに開発されたスポーティモデルだ。販売は好調で、2021年のデータを見と、スイフト全体の47%をスポーツが占めている。

 スイフトスポーツが好調に売られる理由として、手頃な価格で購入できるスポーツモデルの減少が挙げられる。

 86やBRZは、売れ筋グレードの価格が300万円を軽く超える。ロードスターもSスペシャルパッケージの6速MTが284万200円だ。いずれも2ドアだから、ファミリーカーとしては使いにくい。

 その点でスイフトスポーツの価格は、6速MTが201万7400円と割安だ。エンジンは1.4Lターボで、2.3Lに匹敵する動力性能を発揮する。

 足まわりにはモンロー製のパーツも使われ、ベース車のスイフトが軽いボディを生かして走行安定性が優れていることもあり、スイフトスポーツも運転の楽しい優れたスポーツモデルに仕上がった。

 つまりスイフトスポーツでは、200万円少々の価格で本物指向の走りが手に入り、ベース車は実用的なコンパクトカーだから、少々狭いものの4名乗車にも対応できる。その結果、スポーツモデルのニーズがスイフトスポーツに集中した。

 以前は各メーカーとも、スイフトスポーツのような割安なスポーツモデルを豊富に用意したが、今は大幅に減ってしまった。

 スイフトスポーツの高人気は、いわばユーザーの不満の裏返しといえるのかも知れない。

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