三菱が世界の最先端を突っ走っていた頃の先進名&迷技術たち

初代エクリプスの“電動フロントシートベルト”は逆輸入車ならではの装備

ラリーアート復活記念! 一瞬の輝きを放ったMITSUBISHIの先進技術
北米市場で大ヒットとなった初代エクリプス。リトラクタブル・ヘッドライトが採用された。当時の日本ではまだ珍しかった安全装備が充実していた

 英国で26戦無敗を誇った18世紀の名競争馬の名を冠した米国からの逆輸入車=エクリプスは、1990年2月に国内デビュー。

 三菱とクライスラーが合弁で設立したダイヤモンドスターモーターズの工場で生産され、その優れた内外装デザインなどが高く評価されて1989年の米国最優秀産業デザイン賞も獲得した。

 アメリカンテイスト満点のワイド&ローシルエット、200psの最高出力を発生した2.0リッター DOHC16バルブ インタークーラターボエンジンの搭載、エンジンの高出力をフルに活かすビスカスカップリング付センターデフ方式フルタイム4WDなど、スポーティ感あふれるデザインに相応しい走りも実現。

 加えて、発売当時の米国では運転席エアバッグ、またはオートマチックシートベルトが義務づけられていたことから、エクリプスでは後者(電動フロントシートベルト)を標準装備。

 電動フロントシートベルトはドアを閉めてイグニッションキーをオンにすると自動でシートベルトが装着できる日本初の装備だったが……その後はエアバッグの普及に伴って姿を消した。

快適ドライブの積極的アプローチを展開した初代ディアマンテの“MICS”

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当時の上級セダンにはほとんど見られなかったFF駆動を採用。1995年に2代目へとバトンタッチするまでに22万台超を販売するという大ヒットモデルとなった

 新しい価値観を提案するピラードハードトップとして1990年5月に登場したディアマンテ。

 クラスを超越した堂々とした深みのあるフォルムはもとより、新開発の電子制御可変吸気システム付きV6エンジン、世界初の機能を有したトラクションコントロールシステム、乗り心地と操安性を両立したアクティブコントロールサスペンションなど三菱の技術の粋を結集した意欲作として今なお記憶に残る一台だが、なかでも斬新だったのがMICS(三菱インテリジェントコックピットシステム)なる世界初のハイテク機能だ。

 これはシートスライド位置、シートリクライニング角、シート前・後部の高さ、ルームミラー&ドアミラーの角度、ステアリングのチルト角などを総合的に自動調整するもの。コンピュータがドライバーのポジションを記憶して再生するリモコン調整機能をはじめ、標準ポジションの自動設定機能やシートとステアリングの間を自動で広げて楽に降車できるイージーアクセス機能を採用するなど、まさに1990年代をリードする先進装備が満載な一台だった。

ハイテク装備満載のGTOで異彩を放った“2つのアクティブシステム”

ラリーアート復活記念! 一瞬の輝きを放ったMITSUBISHIの先進技術
スタリオンの後継モデルとして登場したGTO。43.5kgmという大トルクが実現する強烈な加速力は他の280ps車を圧倒。個性の強いスタイリングも話題となった

 GTOは4度のマイナーチェンジこそ行われたものの、1代限りで姿を消した悲運の直線番長。空前のパワーウォーズが勃発していた1990年10月に登場したGTOは、他の280psモデルに比べて全長4555×全幅1840×全高1285mm、車重1700kgという大柄&重量級のボディもひと際目を惹いた。

 そんな見た目のインパクトもさることながら、中身も超本格派でドイツ・ゲトラーグ社製の5速MTをはじめ、ショックアブソーバーの減衰力を電子制御するECS、中・高速時に後輪を前輪と同方向に操舵する4WS、マフラーへの排気ガス流入経路を切り替えることでスポーティな音質が楽しめるアクティブエキゾーストシステム、高速走行時にフロントベンチュリーカバーとリアスポイラーが自動的に可動するアクティブエアロシステムなどの最新ハイテク装備も大きな話題に。

 しかし、2001年に販売の低迷と側面衝突規制に適合できないという理由などから販売を終了。その際、三菱から「今後はRVや小型車の生産・販売に注力する」という発表もあり、2代目が登場することはなかった。

次ページは : i-MiEVは新時代の三菱の技術を知らしめた世界初の“量産型電気自動車”

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