■寿命が減るからずっとDレンジのままなのは大間違い!
なお、セレクターを頻繁に動かすと内部が摩耗して寿命が縮むからDに入れっぱなしという人もいるが、それは間違い。
確かに動かせば摩耗はするが、10万回使ったところでそれによる疲労は微々たるもの。むしろ、使わないシフトがあるよりも、常時使っていた方がバルブボディ(ギヤの切り替えを担っている油圧経路の切り替えバルブ)が固着するなどといったトラブルを起こしにくくなる。
ただし、信号待ちなどでは、以前の記事「信号待ちでNレンジにする必要はない。Dレンジのままが正解!」(https://bestcarweb.jp/news/40156)で解説したように、わざわざ信号待ちでNレンジに入れる必要はない。
また、イージードライブできるのがATの利点ゆえ「わざわざそんな面倒なことはしたくない」と、思う人もいるだろうが、楽と安全を天秤にかけたら安全をとるべき。ハンドルを握った瞬間から、あくまで自己責任だからだ。
なお、スポーツシフトモード付のATやCVTならスポーツモードに入れっぱなしにすることで、減速効果を高めた状態でのイージードライブも可能となる。
が、加速重視の早めのシフトアップとなるため、代価として「燃費」は悪化する。このため、常用はつらいが、車間がつまりぎみの渋滞路では確実に走りやすくなる。該当したなら活用したい。
■エンブレで燃費は悪くならない! 下り坂でNレンジに入れるのは厳禁!
ところで、その「燃費」を気にするユーザーで「エンブレを使うと燃費が悪くなる」と本気で考えている人がいるようだが、これは大間違い。
一定の回転数からアクセルペダルを閉じるとコンピューターが「減速している」と判断して燃料の供給を止める「燃料カット」が作動するため、エンブレを使ったからといって燃費が悪化するなんてことはありえない。つまり、エンブレは燃費にも優しいわけ。
また、下り坂等でNレンジで惰性で走らせることで「燃費」を稼いでいると自慢げに話している人をたまに見かけるが、アイドリング回転分の燃料は消費しつづけるため無駄。まして、これはATミッションを傷める行為。絶対にやってはいけない。
ATFの循環を担っているATFポンプの出力はエンジンの回転数に応じて決まるため、エンジンがかかっている限りオイル潤滑は継続されているものの、あくまでアイドリングレベルの循環量。
これに対し、タイヤ側軸の回転速度は下がらず、より多くの循環量が必要な状態のままなため、ATクーラーに流れるATF量が減少することでATFが過熱。
しかも、潤滑不足のままプラネタリーギヤが高速回転することにもなって焼き付く可能性があるからだ。くれぐれも注意したい。
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