ルーミー、トールも出荷停止……大人気のプチバンに大きな穴が空いた。使い勝手のいい小さな車として2016年デビューながら今でも根強い人気を集め、町中で見ない日はないほどである。そんなルーミーとトールの抜けた穴を埋める車がスズキにあった!!
文:佐々木亘/写真:ベストカー編集部
【画像ギャラリー】プチバンでもデザインは攻めてる!! タンク、ルーミーとソリオを画像でチェック!! (21枚)画像ギャラリー■スズキの稼ぎ頭は「良いクルマ」だから売れている
ワゴンR+としてソリオの原型が誕生したのは1999年のこと。その後、ワゴンRソリオ、ソリオと名前を変え、2011年に独立車種となる。現行型は2020年に登場した4代目だ。
ソリオには、長い歴史をかけて積み上げてきた十分な実績と、プチバンとしてのプライドがある。
ルーミー・トールが誕生したのは2016年。当時好調だったソリオを追いかけるための新型導入であり、売れに売れていたルーミーも、元を辿ればソリオの存在があって生まれたクルマなのだ。
ただ、トヨタの販売力に後押しされ、月販1万台近い数字をコンスタントに記録するルーミーに注目は集まった。ソリオの月間販売台数は、多くて5,000台弱だから、ルーミーとは倍近い差が生まれている。
しかしソリオは、2023年10月現在で年間累計4万台強を販売するスズキの稼ぎ頭だ。ヴェゼルやフィット、ノートなどと同じくらい売れているのだから、販売台数は合格点と言える。
そして何より、ソリオは販売台数以上にクルマの素性が高い。ルーミー・トールが出荷停止となり、新車の納車がいつになるかわからない今、ソリオという選択が有効に働くと筆者は思う。
■日本の道はスズキとソリオが制す
軽自動車・コンパクトカーを作り続けてきたスズキは、小さなクルマに必要なことと、日本の狭い道への対応方法を知っている。これはソリオのスペックをみれば、一目瞭然だ。
国産5ナンバーサイズのコンパクトカーは、今やボディ全幅を規格幅いっぱいの1,695mmに設定するクルマが大半である。ルーミー・トールは全幅を1670mmと規格幅より20mm狭くし、取り回しや狭い道に寄り添った。
しかしソリオは、さらに上をいく全幅1,645mmだ。ルーミーよりも25mmも狭い子の全幅は、狭い道でクルマ同士がすれ違う時に、歴然とした差を感じられる。
スズキ販売店で、ソリオの全幅について話を聞くと「これはソリオの伝統です。さまざまなニーズに対応するために、ソリオが生み出した不文律とも言えるでしょう。」と返ってきた。ソリオの車両説明では、スズキの営業マンが一様に胸を張る。クルマの仕上がりに対する自信の表れだろう。
車両全幅が狭いことで、室内幅もソリオの方が狭い。しかし、中に入ればルーミーよりも快適な室内に感じるのがソリオの凄いところだ。
後席居住性は、ルーミーよりも広い膝回り空間と大きな頭上のクリアランスで、ソリオの圧勝。何よりリアシートの作り込みが、ソリオは圧倒的に良い。
軽自動車からのアップサイジング、ミニバンからのダウンサイジングの両方に対応するため生み出されたソリオは、ルーミー・トールよりも1クラス上のクルマだ。こんなに良いから、プチバンはソリオ一択と言い切りたくなる。
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