[軽自動車]なのにガルウィング!! 乗ると恐怖を感じた[AZ-1]その理由とは?  

■カプチーノと別物のエンジンなのだ! 

パワー的には充分。登りの場合はもう少しトルクがほしいが、660 ccと してならこんなものかも
パワー的には充分。登りの場合はもう少しトルクがほしいが、660 ccと してならこんなものかも

 じゃ、AZ-1のハンドリングはすっげーいいかっていうと、そうでもなかったりする。ある程度の腕があれば自由にカウンターを当てて走り回ることはできるけど、そこまでのレベルがなければ怖いだけ。

 何しろ下り坂なんかでコーナリングしながら「あっ! ちょいとオーバースピード気味かな? 」なんて感じでブレーキを踏んだら、もうテールが出ちゃうんだもの。

 カウンターが充てられる人ならいいけど、練習中のお兄さんだったらちょっとアブナイと思う。

 しかも速度が上がるにしたがって、サスペンションはソフト気味になってしまう。日本の峠道の制限速度である60km/hまでは不安もないんだけど、それ以上出すならもう少しハードなほうがいいかもしれない。

 加えてロールも大きめ。Kカーでここまでロ―ルを許すと、転倒する可能性も出てくる。ま、ジムカーナやサーキット走行を楽しむなら、見合った硬さのショックを付けること。

 最近カート用のサーキットでタイムアタックをするのが流行ってるけど、ノーマルサスでホッチ走り(インの縁石に乗る例のスタイルよん)なんかやったら、まずコケると思ったほうがよろしい。

 エンジンはどうだろう。雑誌には「カプチーノと共通の3気筒ツインカムターボ」と書いてあることも多いけど、正確にいえば間違い。カプチーノに搭載される3気筒は縦置きで、FR用の大幅なモデイフアイを受けているのだ。

 AZ-1はFFのアルトワークスと同じ状態のままミドシップしており、フィーリング的にもカプチーノとは違う。カプチーノのエンジンは2000回転以下で凄い振動が出るが、AZ-1はアイドリングに近いところまでイヤな振動は出ない。

 エンジン特性もAZ-1のほうが高回転型。カプチーノは低中速域を重視している。いずれにしてもパワーは充分といった感じで、タコメーターの針が3000~7000回転の間にあればターボならではの太いいトルクを充分に楽める。リミッターがなければ、きっと180km/hくらい出るだろう。

 さて、このクルマをどう評価したらいいだろう? 知ってる人は知ってると思うけど、僕はビートとカプチーノを持っている。したがってAZ-1との比較ということであれば、世界一詳しいと思う。

 

 まず個人的にはパス! というよりAZ-1に門前払いを食らわせられた。狭いのだ。ビートは意外にも前後長がたっぷりあって、183cmもまったく平気。カプチーノに至ってはチルトもテレスコもついてる。

 AZ-1は前後長が狭く足が窮屈なうえ、シートのリクライニングも不可能だから手も余ってしまう。さらにハンドルは固定とくればお手上げ。きっと175cmを境に、文句は出てくるんじゃなかろうか? 

 ガルウイングドアも、ボクにとってはオープンポディより価値ある存在とは思えない。ベンツ300SLが憧れだった石原裕次郎世代にはナミダものなのかもしれないけど、それより屋根が取れたほうがいい。

 という具合で、残念ながらAZ-1は3台目のコレクションにはなりそうもない。ちなみに受注状況だが、デビュー前に半年待ちだったビートやカプチーノと違い、平常のスタートとなっている。

■いちアルバイトスタッフより

 ベストカーweb読者の皆様こんにちは。アルバイトスタッフのOです。いつもご愛読いただきありがとうございます。

 通称”平成ABCトリオ”の”A”にあたるAZ-1は何といってもガルウィングと走るぞ! と言わんばかりの見た目、そしてミドシップが特徴的でしょう。

 今回の試乗記事ではそんなAZ-1を取り上げました。同じ時期にツーシーターミドシップスポーツカーとして出たビートは、AZ-1からすると、カプチーノよりもライバル意識が高かったことだと思います。

 記事を見るに味付けも全く違うこの二台。ミドシップに忠実に従っているAZ-1とハンドリングからあえて手を引いているビート。性格が全く異なる二台がミドシップとして出ていたこの時代が、少し羨ましく感じますね。

 ただ、実用性の低さやバブル崩壊による売り上げの低迷等が重なりわずか3年ほどで販売終了になってしまいました。その影響で現存する台数の少なさからか、現在中古車相場は200~300万ほどと新車価格約165万より高い値段で売られていますね。

 いまや(ピュア)スポーツカーという印象よりも、ガルウィングの印象が先行しているこのクルマですが、やはり本文でもあった通り、ミドシップゆえの不安定さがぬぐえないため、街乗りメインのロマンあるクルマとして今後もっと認識されるだろうなと感じさせられるクルマですね。(ほとんどのネオクラシックカーに言えることですけども笑)

 そう思うと同時に、高度な技術で作りこまれたミドシップカーですし、あと30年後ぐらいにまだ残っていて、ある程度自分のウデが上がっていたら一度は乗ってみたいな~なんて思わせてくれる、男心くすぐられるクルマだと個人的には思いましたね! 

【画像ギャラリー】ロマンしかない!! まるっとAZ-1振り返っていこうぜ! (7枚)画像ギャラリー

 

 

 

 

 

 

 

 

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