2024年、夏の韓国で電気自動車の火災が相次いだ。走行用バッテリーは熱に弱く、夏の暑さによるバッテリーの自然発火が原因とみられている。火災を起こした中にはメルセデスベンツ EQEもあり、使用されているバッテリーを調べたところ、衝撃の事実が判明した!!
※本稿は2024年9月のものです
文:国沢光宏/写真:メルセデスベンツ ほか
初出:『ベストカー』2024年10月10日号
■韓国で多発した電気自動車の自然発火
日本と同じく暑い夏だった韓国で電気自動車の自然火災が続いた。説明するまでもなく三元系リチウムイオン電池は熱に弱く、最悪、爆発的に燃えてしまう。
燃えたら消せない。韓国で起きた火災もたくさんのクルマを巻き込んだ。地下の駐車場だと住居が燃える可能性だって出てくる。
当然ながら「なんで燃えたんだ?」とか「電池の安全性はどうか?」という話になっていく。火災を起こした一台にはメルセデスベンツ EQEもあった。
燃えた車両の電池メーカーを調べてみたら、メルセデスベンツ韓国は使っているメーカーを公表しなかったそうな。
韓国の国交省やメディアの追求により、燃えたEQEに使われている電池が判明したのだけれど、驚いたことに中国製。
しかも中国のなかでも一流に遠い「ファラシス・エナジー」というメーカーだった。メルセデスベンツ、コストで電池を選んでいた?
となると気になるのが、日本で販売しているEQEだ。メルセデスベンツ日本に問い合わせてみると「サプライヤーは非公開になっています」。
こうなると知りたくなるのがメディアの習性。いろんなルートから調べてみたところ、日本で販売しているEQEもファラシス・エナジーの可能性が高い。じゃなければEQS(エンジン車で言えばSクラス)と同じ中国企業のCATLです。
さらにさらに! 韓国のメディアはEQAとEQBもファラシス・エナジーを使っていることを突き止めた。
結果、韓国ではメルセデスベンツに対する評価がガタ落ちになっている。それにしてもなぜ「最善か無か」をクルマ作りの根幹としていたメルセデスベンツは、中国の自動車メーカーも使わない電池メーカーを選んだのだろう。
100歩譲って中国製であっても、燃えない素材のリン酸鉄リチウムイオン電池なら理解できる。ファラシス・エナジーは火災を何度も起こしている三元系リチウムイオン。
ポルトガル沖で自動車運搬船を全焼させたポルシェが採用していたのも(商船三井に訴えられた)三元系。オランダ沖で燃えた「フリーマントル・ハイウェイ」も火元はメルセデスベンツの電気自動車だと言われている。
日本でも、千葉県のディーラーでアウディが自然発火した。欧州で問題ないとされた電池ながら、高温多湿のアジアや自動車運搬船の中という条件だと厳しいのかもしれない。
いずれにしろユーザーは自分で使われている電池のメーカーを知る権利はあると思う。電気自動車に乗っている人はぜひ自車に使われている電池の製造元を聞いてみることを強く推奨したい。
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