歴史を振り返れば最後!? やっぱ[ターボ]はこうじゃなきゃ!!

歴史を振り返れば最後!? やっぱ[ターボ]はこうじゃなきゃ!!

 戦前から各国で研究が進められていた過給器(ターボ)。1930年代には軍用機への搭載が進められ、第二次大戦では連合国側の航空戦略を有利に導いた。戦争が終わるとターボは本格的に自動車へと導入され、1970年代のレースの世界で花開くことになるのだ!!

※本稿は2024年9月のものです
文:片岡英明/写真:日産、スズキ、ポルシェ、BMW ほか
初出:『ベストカー』2024年10月26日号

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■輝けるターボカーの歴史

BMW 2002ターボ(1973年)。航空機技術を活かし生まれたマルニターボ。ターボを語るうえで外せない存在だ
BMW 2002ターボ(1973年)。航空機技術を活かし生まれたマルニターボ。ターボを語るうえで外せない存在だ

 1970年代の革新メカニズムの筆頭が、航空機とレースの世界で注目を集めていた過給器だ。初めてターボ車を運転した時、ひと呼吸置いていっきに加速し、パワーとトルクの伸びが凄いことにも感激した。

 先陣を切り、1973年に登場したのがBMWの2002ターボである。市販車初の採用だったこともあり、調子のいい2002ターボに出会うことは稀だった。だが、きちんとメンテした「マルニターボ」は痛快な加速を見せている。

 これに続いてターボパワーを強烈に印象付けたのは「930」と呼ばれたポルシェ911ターボだ。初期の3Lターボでも刺激的だったが、1978年に登場した3.3Lモデルは4速MTで街中からサーキットまでこなせるほど柔軟な走りを披露し、静粛性も高かった。

 1980年代の傑作は、世界ラリー選手権で大暴れしたランチア デルタS4だろう。ランチアラリーで実績を積んだスーパーチャージャーにターボを組み合わせ、全域でパワーとトルクを引き出せるように工夫している。

 強烈なGを感じる鋭い加速フィールに圧倒されるが、4WDだからコントロールできる領域は広く、ラリーでも常勝を誇った。

 日本にもツインチャージャーの硬派モデルがある。日産は1988年夏にモータースポーツ用にマーチRを開発し、送り出した。そのカタログモデルとして1989年にマーチにツインチャージャーのマーチスーパーターボを設定している。

 このホットハッチは、エンジン回転が低いところからスーパーチャージャーが滑らかな過給を行い、その上の回転域ではターボパワーが炸裂した。全域にわたって安定した過給だから、ダイレクトで力強い加速を楽しむことができたのだ。

 550ccの軽自動車にもスゴい奴がいた。しかも商用のボンバンというのだから驚かされる。スズキが1987年2月に送り出したアルトワークスだ。

 3気筒DOHC4バルブインタークーラーターボは9500回転まで実用になり、レーシングエンジンのようにピックアップも鋭い。4WDは少し御しやすかったが、FFのワークスはジャジャ馬だ。あまりにも鮮烈だったので64psが自主規制値となってしまう。

 同じように刺激が強すぎたのが1989年に登場したR32スカイラインGT-Rである。大排気量ターボならではのパンチの効いた加速に酔いしれた。過給器パワーは素晴らしいね。

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