70シリーズの国内復活や250のデビューなど、トヨタのランドクルーザーファミリーの話題が多かった2023年、実は、最高出力725馬力にもなるという「ランクル40」が北米トヨタから発表されていた。CLASSICランクルファンにとっては気になる「FJブルーザー」についてご紹介しよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】最高出力725馬力のランクル40!?? SEMAショー2023に出展されていた「FJブルーザー」(17枚)画像ギャラリーFJ45をベースにしたオフロードカスタム
最高出力725馬力のランクル40が発表されたのは、2023年の世界最大級のアフターパーツトレードショー「SEMAショー」だ。「FJブルーザー」という名でトヨタブースに出展されたもので、ランドクルーザーファミリー往年の名車「FJ45」をベースにしたオフロードカスタムだ。
「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」をコンセプトとするタフなオフローダーであるランドクルーザー。米国では、1960年に登場した「40系」とよばれるモデルの人気が高く、なかでもピックアップトラック(FJ45)の人気が高い。そのため、FJ45がベースに選ばれたのだ。
オリジナルの面影はありつつも、とんでもないモンスターマシン
ベースとなるのは1966年式のFJ45。丸目のヘッドライトにオーバルグリル、クラムシェルボンネットなど初期のFJ特有のアイコンがみられる希少価値の高いランクルに、非常に大胆なカスタムが施された。
もっとも特徴的なのは、左右に大きくせり出した42インチのBFグッドリッチ クロウラーT/Aタイヤだ。それを支えるサスペンションシステムは、フォックスのショックとアイバッハのスプリングで、極端なストロークをこなすロッククローラー仕様となっている。ロッククローラーとはごつごつとした岩場を走破するエクストリームスポーツで、フルバンプ状態では、タイヤの上端がフロントガラスのラインの半分程の高さにまでくるという。
力強いのは外観だけではない。エンジンはTRD製NASCAR用の358cu.in.(およそ5,871cc)V8エンジンを搭載し、最高出力は725馬力を発生する。トランスミッションはレース用の3速ATで、それぞれ4段階の2WD・4WDモードを選べるトランスファーを備えている。これにより最低ギアの場合は高回転まで回しても時速12マイル(およそ20km/h)で走行し、高速ギアにすると最高速は165マイル(およそ265km/h)に達する。
驚くべきは車体底部にあるトラックシステムだ。大きな岩や急角度の斜面を登る時など、車高が問題になるような場面で「タンク(戦車)モード」を入れると、底部のゴムクローラーが作動、難なく障害物を乗り越えることができるのだ。
米国で苦戦するランクルブランドの認知を広げたかった
「ミント400」や「キング・オブ・ザ・ハマーズ」など、オフロードレースも人気の米国。クラスも様々で、ヴィンテージカーを改造したり、リムジンをオフロードにしてみたり…と遊び心満載のオフロードカルチャーが米国では根付いている。
そんな米国だが、意外にもランクルの販売は苦戦し、実際米国では、「ランドクルーザー300」は販売されていない。SUVなら乗用車をベースにした乗り心地のいい3列シートタイプのほうが、また本格オフローダーならピックアップトラックのほうが、米国では人気だからだ。
ただ、ランドクルーザー250は、ハイブリッドモデルのみながら米国にも投入するなど、トヨタは米国市場でのランクル販売を諦めてはいない。FJブルーザーの製作は、ランクル250の投入によって米国でランクルが復活した(ランクル200の終売からランクル250の登場まで、米国ではランクルが途絶えていた)ことを記念するもので、クラシカルなランクルと最新の技術、そして米国人が大切にするオフロードエクストリームスポーツの世界観を融合することで、ランドクルーザーという世界的なブランドを米国でも広げたい、というトヨタの思いが込められていたのだ。
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こうしたオフロードイベントで、V8エンジンのサウンドを響かせるのが大好きな国である米国。時代を考えると、この手の轟音からは徐々に遠ざかるべきはずなのだが、米国ではまだ衰えていない。トヨタの思惑通り、ランクルブランドの認知につながったのかはわからないが、このFJブルーザーのようなモデルは、米国人は大好物なはず。はたしてランクル300の米国デビューに結び付けることができるか!?? 今後の動向に注目だ。
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