スズキ アルトワークスやダイハツ コペン、ホンダ S660など、軽自動車ならではの走りが楽しめる軽スポーツカー。
これらのモデルにはターボ過給のエンジンが搭載されていますが、NA(自然吸気)エンジンでも速くて楽しい軽自動車があるのをご存じでしょうか。
文:立花義人、写真:ダイハツ、スズキ、ホンダ
NAエンジンの軽スポーツカーが少ないのはなぜ?
NAエンジンの軽スポーツカーは、過去を振り返ってみてもほんのわずかしかありません。その理由としてまず挙げられるのは、エンジンパワーの問題です。
軽自動車のエンジンの排気量は上限が660ccと決められているため、車重の軽い軽自動車であっても、スポーツ走行を楽しめるレベルのパワーを得るためには、ターボは欠かせないのです。
また、安全装備の搭載や衝突安全性の高いシャシーの設計により、現代のクルマは、昔よりも車重が増えていること、以前よりもターボエンジンの燃費が良くなりました。
自然なフィーリングとレスポンスが得られるようになったことなどから、NAエンジンを搭載するメリットが薄れてしまったという点も理由に挙げられます。
それでは、NAエンジン搭載で軽快な走りを提供してくれた希少価値の高い軽自動車をいくつかご紹介しましょう。
ダイハツ エッセ(2005年発売)
ダイハツ ミラをベースにした5ドアの軽自動車です。
シンプルな内装、簡素な装備による安価な価格設定、そして新開発エンジンと軽量ボディによる高い燃費性能、加えて、かわいらしいヨーロピアンなエクステリアが特徴で、気軽に乗れる軽として人気がありました。
しかし、エッセの魅力は、親しみやすさや価格だけではありませんでした。搭載されていたKF-VE直列3気筒エンジンは、NAながら58psを発生しました。
さらに、アルミ製ブロックと樹脂製パーツを多用して、エンジン単体の重量が軽量化されており、新規格の軽自動車としてはかなり軽量な700kgという車両重量で、パワーウェイトレシオは12.06kg/psとなかなかの数字を達成していたのです。
またトランスミッションは5速MTも用意されており、軽量でハイパワー、そしてMTという軽スポーツカーとして充分なスペックがエッセには備わっていたのです。
こうして、当初、高齢者の移動や営業車として想定されていたエッセは、一部のユーザーによって、スポーツカー資質を持っていることが注目されるようになりました。
その走りの楽しさゆえに、メーカーからチューニングパーツが販売されたり、社外パーツが出回ったりとNA軽スポーツとして高く評価されることとなった面白い1台でした。
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