■50年前のクルマとは思えない走り
今回も一般道と高速道路でインプレッションを展開する。走行し始めてすぐに感じたのは、ハンドリングが想像以上にシャープなこと。この年代では珍しくラック&ピニオンが採用されていることも理由かもしれない。
前輪駆動レイアウトとスポーツチューニングされたサスペンションのおかげで、コーナリング時の安定性が高く、安心して曲がれる。
サスペンションは、4輪ともマクファーソンストラット式サスペンションで構成された全輪独立懸架。これにより軽快なハンドリングと乗り心地をバランスし、ワインディングやタイトなコーナーでも的確なコントロールが可能になっている。
実際、旋回性を試してみるとロール量は大きいが、サスペンションがしっかり動いている。足が硬くなるとタイヤに負担がかかりシビアな挙動になるので、街乗りならノーマルサスペンションのほうがバランスがいいと実感した。
高速道路に入り毎度のごとくアクセルを思いきり踏み込んだ。エンジンフィーリングは最高! 7000rpm付近までスムーズに吹け上がり、色あせた初老どころか今でも現役バリバリの色気すら感じさせるイケオジという印象。
最高出力は76馬力だが、アクセルONで俊敏に加速するのは、車両重量が軽自動車並みということも理由のひとつだ。軽量な車体も相まって、ブレーキ性能も申し分ない。
フロントにはディスク、リアにはドラムブレーキが装備されていて、当時のコンパクトカーとしては充分な制動力だ。高速走行において直進安定性は古さを感じさせないほど楽にドライブできる。高いスピード域になると若干不安定にはなるが、1970年代の大衆車に優れたエアロダイナミクスを期待してはいけない。
F1で世界に旋風を巻き起こした本田技研のエンジンは、50年近く経った今でも一般的な日常の運転だけでなく、よりアグレッシブな走行にも対応できることに、ただただ驚かされる。
1200RSは、中古車市場でほとんど登場することのない希少な絶版車。しかし、今なら(取材当時)この個体が購入可能だ。
快適な装備は付いてないけど、旧車には現代のクルマにない魅力が詰まっている。壊れそうなクルマがこんなに高いの? と疑問を持つ方もいると思うが、そういう方には旧車をオススメはしない。そこにはお金で買えないロマンがある。
【画像ギャラリー】車齢50年の初老と思うなかれ!! 元気で軽快なイケオジ・ホンダ シビック1200RS(32枚)画像ギャラリー■EB-1型エンジン探索
本田技研工業が製造したEB-1型エンジンは、主に小型車に搭載されたエンジンのひとつで、1960年代から1970年代にかけて多用された。
シビック1200RSに搭載されたEB-1型エンジンは、1200RSモデル用にチューンされ、当時のスポーツモデルにふさわしい性能を持つエンジンとして設計。最高出力76馬力(6000rpm)、最大トルク10.3kgm(4000rpm)を発揮。軽量な車重を武器に最高速度は160km/hを公称。
ちなみに計算上では5速で6000rpmまで回せれば195.6km/hまで誘なう。この個体は平成3年(1991年)にホンダ技研サービスセンターにてエンジンオーバーホールを実施している。
●1975 HONDA CIVIC 1200RS 主要諸元表
・全長×全幅×全高:3650×1505×1320mm
・ホイールベース:2200mm
・車両重量:695kg
・エンジン形式:水冷直列4気筒SOHC
・総排気量:1169cc
・最高出力:76ps/6000rpm
・最大トルク:10.3kgm/4000rpm
・ミッション:5速MT
・駆動方式:FF
・ステアリング:ラック&ピニオン
・サスペンション:前後)ストラット式独立懸架
・ブレーキ:前)ディスク 後)リーディングトレーリング
・タイヤ:前後175/70SR13(標準155SR13)
・新車時販売価格:76万5000円
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