日本らしいといえばそれまでだが、どれだけ技術のレベルが先行していても、数年後には他の国に追い越されてしまう。そんな虚しいケースがこれまでに何度もあったが、トヨタの水素秘術は他の国に越されないようにレベルアップしていく必要がある。
文:国沢光宏/写真:ベストカーWeb編集部
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技術で先行したのに抜かれて負けるのは、日本の”悪しきお家芸”になりつつある。リチウムイオン電池や、液晶、半導体、太陽光発電パネルなんか日本が実用化した技術ながら、今や中国や台湾、韓国に完負け!
巻き返しを目論むジャンルもあるけれど、最初から全力で走りきっていたら先頭でいられたと思う。リチウムイオン電池も2008年に実用化した後、15年間”ほぼ”進化してないですから。
同じようなことが水素技術でも起きそうな気配濃厚になってきた。今やヒョンデはトヨタやホンダと同等の技術レベルだし、中国が猛追してきている。水素エネルギー、将来を考えれば必ず「あり!」。
しかし! あれほど危険な電動キックボードを簡単に認可しているのに、水素ステーションのホースなんか、未だに1000回で交換が義務づけられている。ホース1本100万円! 1回あたり1000円だ。
ちなみに韓国は2000回。アメリカなんか「漏れたら交換」でOK! ホース、安全率をものすごく高く見ているから、4万回を超えても問題無いと言う。そんな状況でトヨタが水素エンジンにチャレンジしている。効率ということを考えれば燃料電池の方が効率的。熱効率で考えると2倍くらい違う。
ところが細密な構造を持つ燃料電池で使う水素は、不純物無しの純粋な水素を使わないとダメ。エンジンで燃やすなら、多少不純物あっても平気。
極端な事を言えば、燃料電池用の水素は電気分解が好ましい。水素エンジンだったら製鉄所で出てくる副成水素や(今は燃やして廃棄している)、褐炭という「石炭になりかけた素材」から取る水素で何ら問題無い。
もう一つは熱。燃料電池の反応温度は70度くらいまでに抑えたい。されどパワー出すと温度上がってしまう。そいつを冷やすのが難しい。いわゆる「ラムダ」というヤツです。温度差がない。
エンジンだと燃焼室は1000度近い。そいつを水で冷やす。ラムダは900度近く、めちゃ冷える。さらにラジエターの水は110度くらいあるため、外気温50度でもラムダは60度ある。
けれど70度と50度だと20度しかない。熱いお湯をぬるくするのに、冷たい水を混ぜが方がいいというイメージでよい。したがってオーストラリア内陸部の砂漠地帯だと燃料電池は冷えない。水素エンジンだと冷えます。ということで今回試乗した水素エンジン車だ。
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昨年作ったのは3.5LV6ターボの水素エンジン車。これだと航続距離200kmで、少しばかり心許ない。今回試乗したモデルは燃費向上のためハイブリッドと組み合わせている。これだけで同じ水素タンクながら航続距離は250kmに伸びるそうな。もちろん250kmだって実用的とは言えない。
水素タンクの容量を2倍にすれば(ルーフなどに長いタンクを載せたっていい)。航続距離は500km。十分実用的だ。しかも灼熱の地でフルパワー出したって問題無し。
ちなみに今回のハイエース、オーストラリアで実証試験を考えているそうな。オーストラリア、褐炭が豊富。多少不純物のある水素ながら、エンジンで燃やすなら何の問題も無い。エンジン技術は燃料電池と比べたら圧倒的にリーズナブル。実用性あります。
長い前置きになった。水素エンジン+ハイブリッドである。ハイブリッド無しの先代モデルは、アクセル踏んだ時のタイムラグが大きく、市販車という試験車レベルだった。なのに新型はアクセル踏んだ直後にモーターでアシストするため、タイムラグを感じない。
そればかりか、けっこうパワフルな電池を積んでいるらしく、グイグイ加速する。市販車と言ってもさしつかえないレベル。さらに燃費を伸ばそうとするなら、3.5LV6ターボでは無く、4気筒の2.5Lーターボくらいでも良さそう。
開発担当者に聞いてみると「パワーユニットは用途によって変えるべきだと思います。街中の配達用なら小さい排気量で良いし、オーストラリアの都市間移動で使うのなら、ある程度のパワーが必要になってきます。今後、最適なバランスを考えていきます」。
この技術、海外勢にやられないよう育てるべきだと思います。
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コメント
コメントの使い方海外勢に後からやられているのは、豊かな国だから人件費で負ける、部分もありつつ
多くの国内メディアが極端に非協力的、が非常に大きいです。自動車メディアも長年散々にトヨタの足引っ張ってきた。一強となった今はしれっと擦り寄ってますが
法規も行政もマンパワーで時間も限りがある。全ての問題を解決できる神じゃなく優先順位の上から解決する。利益生まないイザコザ創成して足引っ張り続けるメディアが法整備を遅らせてる