再始動時の燃料噴射でガソリンが混入しエンジンオイルが薄められてしまう
そしてもう1つの問題が、始動時の燃料噴射が起こすオイルの燃料希釈だ。燃料希釈とは、エンジンオイル中に燃料のガソリンが混入し、エンジンオイルが薄められる現象だ。
燃焼室に入った燃料はすべて燃えるわけではなく、特に始動時や冷間時の濃い混合気により、燃料希釈は起こりやすい。
これはアイドリングストップ車やハイブリッド車では、より顕著になるのだろうか? 和田さんによれば、
「最近はエンジンオイルの成分が壊れるほどシビアな状態までオイルを酷使するユーザーは減っています。しかし燃料によるエンジンオイルの希釈は、油膜保持性を低下させるので、一定以上になると潤滑性能に悪影響を与えてしまうことになるんです。
乗り方によって大きく異なるので一概には言えませんが、実際にアイドリングストップ車で使用されたエンジンオイルを分析してみると、同じ距離を走った従来のエンジン車と比べて、燃料による粘度低下が多く認められています」。
燃料希釈はどんなエンジンでも起こり得るが、アイドリングストップにより油温が上がりにくいとブローバイガスによる蒸発も進まず、オイル内に蓄積されて粘度を低下させるだけでなくオイルを変質させる原因にもなっているそうだ。
ちなみに同社ではアイドリングストップによる悪影響に強いハイブリッド専用オイルや、オイル添加剤などもラインナップしているそうだ。
結論/HV車やアイドリング車のエンジンオイルは汚れやすい!
エンジンオイルは、一度エンジンに注入されてエンジンを始動された瞬間から、酸化による劣化が始まる。もっとも使用中のエンジンオイルが黒く汚れるのは、エンジン内部の汚れを落として包み込んでいることもあり、必ずしも劣化とは限らない。
走行中もエンジンが頻繁に停止するハイブリッド車や、アイドリングストップするエンジン車は、従来のエンジン車に比べてエンジンオイルが汚れやすい要素がある。
アイドリングストップによる頻繁な再始動により、オイルがわずかずつ燃えても、燃料希釈により増えることで見た目には減っていないという現象も起こり得る。
やはり、エンジンの停止時間が長く、油温が上がりにくい傾向にあるハイブリッド車やアイドリングストップ機構付きのクルマは、前回のオイル交換から走行距離が少なくオイル量も十分にあっても、アイドリングストップによりオイルの劣化は進むと考えておいた方がいい。
つまり、純粋なエンジン車よりもエンジンオイルの交換サイクルは早くなるということだ。
ハイブリッド車やアイドリングストップ機構付きのクルマの寿命を伸ばしたいなら、低温時にも優れた潤滑機能を発揮する、SNグレードの0W-16や0W-20といったHV車やアイドリングストップ車専用のエンジンオイルを入れて、たとえ走行距離が少なくても、半年に一度はエンジンオイルの交換をお薦めする。
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