今年も残すところあとわずか。年末年始の休暇を思う存分楽しむため、バッチリ計画を立てた!! という人も少なくないでしょう。そんな計画を台無しにされかねないのが、高速道路の渋滞。交通集中による渋滞は避けられないものと諦めがちですが、実はひとりひとりのドライバーの心がけで、渋滞はある程度回避もしくは緩和が可能。ドライバー皆が協力すれば、渋滞は緩和できる!! 渋滞緩和の運転術をご紹介しましょう。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_metamorworks/写真:Adobe Stock、写真AC、NEXCO東日本
【画像ギャラリー】交通集中による渋滞は避けられない…ことはない!! 皆でやるとよい渋滞解消のテクニック(7枚)画像ギャラリー原因がわかっていても対策が難しい渋滞
高速道路の渋滞というと、事故や工事が原因となっていることが多いように思いますが、実は約8割が交通集中によって引き起こされています。実際に、NEXCO東日本によると、2023年に発生した渋滞のうち、約70%は交通集中を原因とする渋滞だったそう。ちなみに、事故は18%、工事は3%しかなかったそうです。
この交通集中による渋滞のなかでも、やっかいなのが、上り坂、およびサグ部(下り坂から上り坂にさしかかる凹部)で発生する渋滞。交通集中による渋滞のうち、約60%が上り坂およびサグ部で発生しています。実際に、しょっちゅう渋滞が発生している東名高速下り方面の大和バス停付近や綾瀬バス停付近、中央自動車道の上り方面の小仏トンネル付近など、渋滞で有名な場所は、もれなくサグ部となっています。
上り坂やサグ部では、速度をキープしているつもりでも、クルマは自然に減速をします。すると、前走車との車間距離が詰まり、後続車がとっさにブレーキを踏み、またその後続車もブレーキを踏む。それらが連鎖することで、渋滞となっていくのです。比較的新しい新東名高速道路などでは、起伏ができないように道路がつくられていますが、既存の高速道路の起伏を無くして平らにするのは現実的ではなく、交通集中による渋滞は、要因がわかっていても、対策が難しいのです。
「車間距離40m」で、渋滞は緩和もしくは回避できる!!
ただ、上り坂で自然に減速してしまうのが原因だとするならば、通行するクルマたちが、速度をキープできれば、道路の整備をしなくても、渋滞は発生しない、もしくは緩和ができるはず。そのため、頻繁に渋滞が発生する箇所では、高速道路会社によって、標識等を設置して速度回復を促されているほか、「ペースメーカーライト(PML)」という、進行方向に光が移動するように点滅するライトを設置することで、速度低下を抑制しようとするものも設置されています。また、追い越し車線への交通集中や無理な車線変更によって発生する渋滞を避けるための「車線キープグリーンライン」が設置されている箇所も。
我々ドライバーは、こうした標識などを見かけたら、標識に従って通行し、速度が低下しているようであれば回復するようにする必要がありますが、実は、車間距離に気を付けて走行することでも、渋滞を緩和することができます。
日産が紹介している「渋滞の基礎知識」によると、車間距離が40m以下のときに前走するクルマがブレーキを踏むと、後続のクルマはより強くブレーキを踏む傾向があり、これがさらに後続のクルマへと連鎖していくことで流れが止まってしまい、渋滞が起きやすくなってしまうそう。実際、車間距離を40m以上あけることによって、速度が回復し、渋滞が軽減されたということが社会実験で実証されているそうです。
渋滞していると、少しでも前へ進みたい気持ちが先走り、車間距離を詰めがちになってしまいますが、車間距離をとることで、車間距離が「クッション」の役割をはたし、前のクルマが大きく減速しても、ブレーキを踏むことなく(または踏む頻度を減らし)、速度を保って走行することができるのです。
この適切な車間距離とされる「40m」を図る便利な方法としては、高速道路に設置されている車間距離確認区間を利用するのもいいですが、走行車線と追い越し車線の間の白線(レーンマーク)を利用するのがおすすめ。レーンマークは、8mの白線と12mの空白で構成されているため、白線と空白2つずつぶんが、ちょうど40mということになります。実際に渋滞時にこれだけの車間距離をとることは難しいことではありますが、車間距離がクッションになる、ということは、覚えておきたいところです。
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