SUVが隆盛を誇り、ミニバンや軽ハイトワゴンが注目されている令和の世。だが、我々中高年が憧れたのは、クーペ、ハッチ、セダンだったはずだ!! ここでは、ご存知清水草一氏とともに、令和の今から昭和のクルマ界を振り返ってみる。
※本稿は2024年11月のものです
文:清水草一/写真:ホンダ、日産、スズキ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年12月26日号
令和の現代から遥かな昭和を振り返る
日本初のミニバンは、1994年発売のオデッセイ。日本初のSUVは1997年発売のハリアー。そして日本初の軽ハイトワゴンは1993年発売のワゴンR。
どれも1990年代に生まれて、その後ジワジワとシェアを伸ばし、現在では主流になっている。最近ほとんど絶滅気味のステーションワゴンも、1989年のレガシィツーリングワゴンが最初と言っていい。つまり、すべて平成生まれだ。
昭和世代にとっては、SUVもミニバンもステーションワゴンも、ポッと出の新参者。そして軽は軽。男のファーストカーにはなりえない。保守的と言われようと守旧派と言われようと、そういう脳ミソの構造になっているのだ!
その脳ミソのまま、令和の今、クルマ選びをしたらどうなるか。そもそも可能なのか? ムリヤリでもやってみようじゃないか!
【画像ギャラリー】令和の現代から振り返る!! 当時のナウなヤングにバカウケだった懐かしの昭和カーたち(24枚)画像ギャラリー昭和脳はみずから進んで選択肢を狭める!
おおざっぱに言うと、令和の新車シェアは軽が4割、ミニバンが2割、SUVが2割。残りはたったの2割しかないっ!
しかし、40年前を思い出してくれ。その頃はまだミニバンもSUVもなく、ステーションワゴンも存在していなかった(ライトバンはアリ)。軽はあったけどゲタ代わりや仕事用で、クルマ好きがあえて選ぶことは、まずなかった。
昭和後期のクルマ好きの価値観で見ると、いま売られているクルマの8割は、ありえない選択ってことになる!
昭和後期に一番もてはやされたのは、スポーティなクーペだ。スポーツモデルにはクーペとハッチバックの両方が用意されていることが多かったが、それらをひとくくりに「クーペ系」とすると、当時のクルマ好きの若者たち(すなわち現在のクルマ好き中高年)は、心の底からクーペ系を欲しがっていた。
最大の憧れは、強力な加速力を持つ本格派スポーツモデルだったが、カッコだけのスペシャルティカーでも充分満足。デートカーとしてもてはやされた。
それに続いたのが、実用的で若々しいスタイリングのハッチバックだ。ただし、若者に人気があったのは5ドアではなく3ドア。今はなき3ドアハッチバックは青春そのものだった。
そして、当時の販売の主流は、驚くべきことにまだセダンだった。クルマ好きの若者たちにとって、セダンは基本的にオッサン臭い存在だったが、1980年代に登場したハイソカー系セダンは別。全国民がハイソカーに憧れた。
ヤンキーを中心に高級オッサンセダンへの憧れもあり、ヤン車のベースとして愛好する者も少なくなかった。
当時の価値観、つまり「昭和脳」で現在の新車ラインナップを俯瞰すると、どんな風に見えるのか。あの頃の憧れのクルマたちの代役になりうるモデルは、現在、どれくらい残っているのか!? うおおおお、カムバック昭和後期!!
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