たくさん売れたわけじゃないが何年経っても覚えている、印象的だったあのクルマ。今回は永遠の近未来カー、スバル アルシオーネSVXだ。ジウジアーロが手がける“走る宇宙船”と呼ばれたエクステリアデザインは未来の最先端を突き抜けている!!
※本稿は2024年12月のものです
文:小沢コージ/写真:茂呂幸正
初出:『ベストカー』2025年1月10日号
プンプン漂う名車(迷車?)の予感
いま見ても圧巻のカッコよさだぜ。アルシオーネSVX! まるで全面ガラス張りのごとく見えるグラスキャノピーといい、低いボンネットに繋がる優美なウエッジシェイプといい、宇宙船顔負けの未来感。これぞニッポンのスーパーカーよ。
バブル生まれのスバルフラッグシップで、正直1991年に出た時からデビューが10年遅すぎたと言われたクルマ。メインの北米市場で2ドアクーペは売れていたけど、日本で流行ったのはその10年前だし、なにより力入りまくりで価格も高く国内販売台数は約6000台。
ボディはレガシィよりホイールベースの長い全長4.6m台の3ナンバーサイズで、しかもリア席に乗りにくい2ドアクーペ。
デザイン担当はかの天才デザイナー、ジウジアーロでカタチは確かに素晴らしくカッコいい。いすゞ117クーペ、ピアッツァを思い出すエレガント国産2ドアの直系だが、その分それなりに使いにくい。
全高1.3mと今のBMW3シリーズより低いから乗り降りは疲れるし、リアシートは意外に広いけど、なにより得意のガラスがルーフに回り込んだデザインのおかげでウィンドウ開口部は狭く、開放感はさほど。ただし運転席は身長180cmでも乗れるし、意外に快適とも言える。
【画像ギャラリー】ジュピターには何時に着くんだ……星の世界まで行けそうな先鋭的デザインのスバル アルシオーネSVX(24枚)画像ギャラリー問答無用のカッコよさ……これはスーパーカーだ!
いっぽう、魅力的なのはお金のかかったパワトレ&内装で、エンジンは当時のレガシィ用2.2Lフラット4に2気筒分足した3.3Lフラット6DOHC。今も昔もあのポルシェしか作ってないスーパーエンジンでピークパワー&トルクは240ps&31.5kgmとパワフル。
残念なのはレスポンスの遅い4速ATだけど、回転フィールはとにかく上質。アイドリング時はエンジンかかってないんじゃないの? ってほど静かだし、ついでに独特の鼓動感が超キモチいい。
ハンドリングもびっくりするほど滑らかでボディ剛性も30年前のクルマとは思えないほど高く、さすがはバブル期生まれの本気のグランドツーリングカー。
駆動方式は前後トルクスプリット式フルタイム4WDで走破性は高く、今回借りた初期の上級バージョンLは4WSまで装備。トランク容量はサブを含めて約350Lとさほど広くないけど、リアシートを半分潰せば3人ドライブもOK。マジでコイツで冬の東北温泉巡りでもしたいところ。
インテリアも素晴らしく、特にバージョンLは本革シートにダッシュボードからドアトリムまで上質スエード生地のコンビ内装。今見ても質感高く、これとエンジンだけでも買う価値アリ。
気になる燃費は当時の10・15モードでリッター7km。オマケにハイオク仕様なのがツラいけど、聞けば街中でも頑張ればリッター8km前後、高速でも10kmいくらしいので運転上手には朗報。気を許すと平気でリッター5kmはいきそうだけど。
気になる故障は未知数。オイル漏れやATオーバーホールはザラだし、すでに30年前のクルマだけにパーツ入手も困難で、特に電装系は怪しい。旧車に不慣れな人や懇意の修理屋がいない人にはオススメしない。
ただし慣れた人ならOKだし、ここ数年で4〜5台売ったバクヤス店長によれば「ウチに限ってですけど故障はありません。もしや10万km走ってるクルマは直しがひと通り済んでいるのかも?」。もちろんすべては自己責任です!!
【画像ギャラリー】ジュピターには何時に着くんだ……星の世界まで行けそうな先鋭的デザインのスバル アルシオーネSVX(24枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方