2024年10月、BEV化したGクラス、メルセデスベンツ G580 with EQ テクノロジーが日本で正式発表された。しかし天下のGクラスが「はい、モーター付けました」で終わるはずがない。モーターさえも走破性の糧とし、Gの新たなオフロード制覇が始まる!!
※本稿は2024年12月のものです
文:大音安弘/写真:メルセデスベンツ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年1月10日号
電動化したベンツGクラスが日本上陸
ついに究極のオフローダーをEV化したG580に試乗した。
G580の特筆すべきところは、単なる前後の駆動をモーターに置き換えた4WDではないことだ。
4輪それぞれに、モーターと2段式トランスミッションを備え、ローレンジモードを作り出し、トルクベクタリング機能による仮想デファレンシャルロックも備える。また、ボディ下部を強靭なカバーで保護することで、エンジン車と同様の悪路走破性能を実現した。
オフロード試乗では、G450dとG580の比較として、ドロまみれの急な上り坂、傾斜の強い下り坂、モーグル路、水路などがあるコースを走行した。
結論から言えば、悪路走破性はG580のほうが上で、運転もしやすい。そこには緻密な制御が可能なモーターの強みが生きる。路面状況に合わせて各輪を制御するので、エンジン車より姿勢が安定し無駄な動きもない。
石が埋まった滑りやすい坂道であろうと、平地のように事もなく駆けあがってくれる。さらに渡河水深もG450d比で+150mmの850mmとしている。この点は、電動化のネガがないことを証明する狙いもあるのだろう。
ただ冒険として捉えると、評価は少々異なる。安全性ならばEVだが、悪路を制する楽しさは、よりメカニカルなエンジン車が勝るからだ。
公道走行ではEVならではの「無音」のよしあしも感じた。モーターによる俊敏な動きは素晴らしいが、音のない世界はGには無機質で寂しいものだ。
もちろんその点にも抜かりはなく、「Gロアー」機能では疑似V8音などの走行を追加できる。発する音はモーターの加減速と連動するので、運転のリズムが作りやすいのもよい点だ。
不釣り合いと思わせた電動化は、360度ターンを可能した「Gターン」や小回りを高める「Gステアリング」などオフロード機能の新たな進化をもたらした。G580は、今後のクロカンが電動化への活路を見出す未来をはっきりと示してくれた。
●メルセデスベンツ G580 with EQ テクノロジー 主要諸元
・全長×全幅×全高:4730×1985×1990mm
・ホイールベース:2890mm
・車両重量:3120kg
・前後モーター最高出力/最大トルク:147ps/29.7kgm(1基あたり)
・システム最高出力:587ps/118.7kgm
・バッテリー容量:116.0kWh
・一充電走行距離:530km(WLTCモード)
・0-100km/h加速:4.7秒
・価格:2635万円
ガソリンモデルもマイナーチェンジ! AMG G63 ローンチエディション
マイナーチェンジを受けたG63は、自慢の4.0L、V8ツインターボをISGで電動化。高効率化に加え、モーターを電動ブーストに使用可能になった。G初の電制サス「AMG ACTIVE RIDE CONTROL」も標準とし乗り心地も向上している。もちろんイカツいグリルやサイド出しマフラーなどAMGらしさも健在だ。
公道試乗のみだったが、刺激的なサウンドとともに滑らかに吹け上がるV8に痺れた。乗り心地を含む快適性も高め、究極のGの世界観を体現している。
【画像ギャラリー】Gがオフロードを再征服する!! 4輪独立モーターで縦横無尽に駆けるメルセデスベンツ G580 with EQ テクノロジー(24枚)画像ギャラリー
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