【30周年を迎えたマツダの至宝】ロードスターはなぜこれほど愛されるクルマになったのか?

■リトラクタブルライトを捨て上質さを求めたNB、上級移行したNC

 続くNBは1998年に登場したが、モデルチェンジを控えた頃、リトラクタブルヘッドライトを廃し、外観の雰囲気も変わる情報がささやかれはじめると、不評の声が噴出したことを思い出す。実際に発売されてからもNAを惜しむ声は小さくなく、中古車市場でも高値を維持したNAの最終型がNBを上回るなど逆転現象も早くから見られた。

初代のキープコンセプトとして登場した2代目。内外装は「正常進化」という言葉がぴったりの変化だが、ボディ剛性など中身は、初代から大きく進化していた

 ただし、ハードとしては着実に進化していた。初めて6速MTが設定され、エンジンも進化。ヒラリ感と評されたフットワークも、より上質に洗練された。ビニールからガラスになったリアスクリーンは、NAにもそのまま装着が可能だったことから換装が流行った。さらには、のちにクーペやターボを設定するなど新たな方向性の模索も見られた。それでも、最後までNBはNAの存在を超えることはできなかったように思えるのが正直なところではある。

 そして2005年に登場した3代目のNCは、ボディサイズが拡大し、エンジンは2Lが標準となり、当初はV6を積むのではというウワサまであったほどで、上級移行をうかがわせた。モノが進化していくなかでよくあることがロードスターにも起こったわけで、そこには90年代半ば頃から続々と登場した欧州勢のオープンカーの影響もあったものと思われるが、ロードスターとしての基本コンセプトだけは譲ることはなかったといえる。

サイズ、排気量ともに拡大した3代目。登場翌年には、RHTという電動メタルトップのモデルも追加された

■原点回帰で開発されたND登場で、ロードスターの物語はさらに続く

 そこで、ボディサイズを切り詰め、徹底して軽量化を図り、日本仕様のソフトトップ車にはあえて小排気量エンジンのみを設定するなど、「原点回帰」を念頭に置いて開発されたのが、2015年に登場した現行のNDだ。初代NAのあのテイストを好んだファンにとって、NDは待望のロードスターといえよう。また、2016年4月には累計生産台数が100万台を超えたことも報じられた。

「原点回帰」を謳って登場した現行型の4代目。内外装の質感が大幅に向上し、プレミアムスポーツといえる領域にある

 早いもので誕生から30年。ロードスターはずっと世界中で老若男女問わず愛され、国や文化、世代を超えた多くのユーザーから支持されつづけている。冒頭で述べた「日本自動車殿堂 歴史遺産車」に選定されたのも、

・4代にわたる、変わらぬコンセプト
・累計生産台数100万台を超え、世界記録を更新し続けている
・魅力的なスタイリング、クルマを操る楽しさを提供し、日本の技術水準の高さを世界に知らしめた

などが評価されてのことだ。

 今後もロードスターには根底に流れるコンセプトを変えることなく、ずっと存在しつづけてくれるよう心より願いたい。

30年間も愛され、親の世代から子の世代までの幅広いファンを持つクルマはめったにない

【画像ギャラリー】歴代ロードスターの姿を振り返る。あなたの思い出の1台はどれですか?

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