2024年11月に登場した新型日産 パトロール。おもに中東で販売される海外向け本格SUVだ。ラダーフレームを採用する本格仕様でありながら、上位グレードにはエアサスを採用するなど乗り心地にも配慮。ホームグラウンドであるサウジアラビアで試乗した!!
※本稿は2024年12月のものです
文:渡辺敏史/写真:日産 ほか
初出:『ベストカー』2025年1月26日号
快適性はランクル300と互角以上
「パトロール」は、日産のSUVラインナップの中でも最も長い歴史を誇る一台だ。日本では「サファリ」として親しまれていたが、販売不振を受けて2007年に販売を終了。以降は中東を中心とした海外向けに販売を継続している。
Y63系となる新型パトロールは前型のY62系と同様、ラダーフレームにダブルウィッシュボーンの四輪独立サスという構成ながら、シャシーそのものは完全刷新されており、フレーム単体の剛性は曲げ側で57%、捻れ側で40%も向上している。
また、新型の大きなトピックは上位グレードにエアサスを採用したことだ。その車高調整機能によって174mm~294mmと、120mmの可動域を実現し、乗降からオフロードまでの利便性を高めた。
ちなみにエアサスが採用されるのはトップグレードのプラチナムとなり、他グレードはコンベンショナルなコイルサスを採用する。
【画像ギャラリー】日本に登場すればランクルと戦える!? 信頼性に快適性をプラスした新型日産 パトロール(24枚)画像ギャラリーパワフルかつ乗り心地も上々
試乗車はエアサスのプラチナムとなったが、事前に乗ったY62系の印象からすれば劇的ともいえる進化を遂げていた。
高負荷対策にGT-Rにヒントを得た潤滑系を採用したという新設計の3.5L・V6ツインターボユニットは、9速ATの助けも借りてパワー&トルクも充分以上の余裕を感じさせるし、何より回転フィールが滑らかかつメカノイズ系もしっかり抑えられている。
寸法的に近似値なキャデラック・エスカレードや身近なライバルとなる300系ランクルあたりと比べても、快適性は互角以上だ。
そこに乗り心地面で多分に寄与しているエアサスは、オンロードで適切なマナーを維持しつつ、凹凸の続くオフロードであっても乗り心地のよさをしっかりと感じさせてくれる仕上がりとなっている。
ハンドリング面でも四独サスが奏功してか、ロールと接地感とのバランスがきっちりシンクロしていて、自信をもって巨体を御すことができる。
ちなみにこのパトロールの日本導入はまったくの未定ながら、社内の営業やエンジニアの間でも要望の声は大きいと聞く。価格的に3桁万円内で収めることができれば、その商品力は充分以上という印象だった。
【画像ギャラリー】日本に登場すればランクルと戦える!? 信頼性に快適性をプラスした新型日産 パトロール(24枚)画像ギャラリーラギッドなモデルがウケる今こそ……日本導入でランクルに挑むべし!!
先で触れたように、日本では「サファリ」の名で販売されていたパトロール。
デビュー年で言えば、ランドクルーザーよりも長い歴史を持つ。「サファリ」名は1980年に登場した3代目から採用。5代目Y61型まで日本国内販売されていたが、2007年7月に国内販売を終えた。
翻って令和の今、世はSUVブームに沸き、特に最近は硬派でラギッドなモデルに人気が集中している。日本市場に復活すれば大いに話題となると思うのだが……。
●7代目日産 パトロール LE TITANIUM SPEC
・全長×全幅×全高:5205×2030×1955mm
・ホイールベース:3075mm
・車両重量:2778kg
・エンジン:V6 DOHC ツインターボ
・総排気量:3492cc
・最高出力:425hp/5600rpm
・最大トルク:71.4kgm/3600rpm
・トランスミッション:9速AT
・最低地上高:253mm
・乗車定員:8人
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