残価率の高いクルマは利用者にとって有利なのか?
高価格車では、この傾向が顕著になる。例えばスカイラインGTタイプSP(514万9100円)は、5年間の均等払いで、月々の返済額が7万5800円だ。
それがアルファードハイブリッドX(510万円)は、価格は同程度なのに、月々の返済額は5万6600円まで下がる。トライトンGSR(540万1000円)は、価格がスカイラインに比べて約25万円高いのに、月々の返済額は5万3200円に収まる。
このような差が生じる理由は、5年後の残価の違いだ。スカイラインの残価は新車価格の33%だが、アルファードは53%、トライトンは57%に達する。そのためにトライトンの新車価格はスカイラインより約25万円高いのに、月々の返済額は2万円以上安くなる。返済額を比率に換算すると、トライトンはスカイラインの70%で済むのだ。
そして契約期間が満了したら、残価を支払って買い取らずに車両を返却する。高い残価を支払うと、月々の返済額を抑えたメリットが帳消しになるからだ。
残価の高いクルマは、メーカーのホームページに設定された「見積りシミュレーション」や「オンライン見積り」を使うと見つけやすい。ホームページにアクセスしたら、残価設定ローンを選び、車種、グレード、支払い回数などを打ち込むと支払いパターンが表で示される。この中に「最終回支払い額」として表記される金額が残価だ。
最終回支払い額(残価)÷車両本体価格」で示される残価率は、一般的には3年契約が40~45%、5年契約は25~35%になる。それが残価率の高い車種では、3年後が50~55%、5年後が35~45%くらいに高まる。その分だけ月々の返済額は安くなる。
トップ水準の車種は、3年後の残価率が60~70%、5年後が55~60%といった数値だ。トップ水準の車種は一部の高価格車に限られるが、3年後が50~55%、5年後が35~45%の車種は相応に見られる。
先に挙げたヤリスクロスなどだ。従って残価設定ローンを利用するなら、残価率が3年後で50%以上、5年後でも35%以上の車種を選ぶと良い。
残価設定ローンで注意すべきは、残価率の高い車種になると、高価なクルマに乗りながら返済がなかなか進まないことだ。言い換えれば車両を返却するまで、常に高い債務を負っている。
追突事故の被害を受けて車両に甚大な損傷が生じると、事故歴になり、車両を返却する時に精算が生じることもある。加害車両の対物賠償保険を使っても、事故歴に基づく精算まではカバーされない。
走行距離が過剰に増えた場合なども同様だ。残価設定ローンにはリスクも伴うため、クルマを借りている感覚で大切に使うことが求められる。
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