[電子車検証]って誰得? 小さくなった[車検証]が起こしている意外な弊害

[電子車検証]って誰得? 小さくなった[車検証]が起こしている意外な弊害

 登録車は2023年1月、軽自動車も今年の1月から車検証の電子化が開始された。電子車検証とはいえ、従来の紙車検証よりも小さくなった車検証が公布されていて、ペーパーレスというわけではない。この小さな車検証が、各所で物議を醸している。普段はグローブボックスにしまってある小さな車検証が、今後あなたにデメリットをもたらすかもしれないぞ。

文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=Kumi@Adobestock)

メリットもあるが、同時にデメリットも多々ある(naraz@Adobestock)
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電子化で何が変わった?小さな車検証のメリット・デメリット

メリットもあるが、同時にデメリットも多々ある(naraz@Adobestock)
メリットもあるが、同時にデメリットも多々ある(naraz@Adobestock)

 まず電子車検証のメリットから紹介していく。

 物理的に小さくなった車検証は携行に便利となった。また、電子車検証の専用アプリでプッシュ通知を利用すると、車検有効期間満了日の事前通知を受け取ることができる。うっかり車検が切れてしまったということが、スマホへのプッシュ通知で少なくなることだろう。

 また、券面情報が変わらなければ、電子記録だけを書き換える事ができるため、運輸支局への出頭や車検証の再発行などが行われない。

 今までは、ディーラーなどでの継続車検時に、何日も車検証が手元にない時間を過ごしていたが、新しい車検証発行までにかかる時間を大幅に短縮できるのもメリットだ。

 対してデメリットも多くある。ICタグが入っている部分を折り曲げることはNGとなったし、高温下に長時間放置してはいけないなど、車検証自体の取り扱いが紙車検証の時よりもシビアになった。

 また、新規検査・継続検査における手数料が引き上げられているのも大きなデメリットであろう。完成検査証の提出に関わる新規検査は登録車で1,600円から1900円へ、軽自動車は1,500円から1,900円へそれぞれ値上がり。

 保安基準適合証の提出に関わる継続検査でも、登録車は1,600円から、軽自動車は1,500円からそれぞれ1,800円へと手数料が上がった。

 この手数料はOSS申請を行うと200円安くなるが、それでも値上げとなっている手続きは多い。さらに自動車に関わる仕事現場では、小さな車検証で大きな迷惑を被っている場所がある。

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下取・買取査定現場が混乱中?

今の状況下で、電子化してよかったと思う日は来るのだろうか(BBuilder@Adobestock)
今の状況下で、電子化してよかったと思う日は来るのだろうか(BBuilder@Adobestock)

 新車を販売するディーラーや、中古車販売店、さらには自動車買取専門店では、小さくなった車検証にほとほと困っている様子が見えた。

 電子車検証となり、従来の紙車検証よりも記載情報が少なくなっているのだが、これが自動車査定業務に大きな影響を与えている。

 お店によって査定の方法は変わってくるが、メーカー系ディーラーや大型の買取専門店などでは、車検証情報や実車の情報を端末で入力し、本部へ情報を送ると、情報に基づいた査定金額を本部が回答するというシステムを取っていることが多い。

 ここで必要となってくるのが、型式指定番号と類別区分番号なのだが、これが電子車検証には載っていない。またワンオーナーか否かを見極める登録年月日/交付年月日や、車両にローンが残っているのかどうかの判断の一つになる所有者情報も、電子車検証の記載情報からは消えてしまった。

 これらの情報は、電子車検証発行の際に一緒に渡されている「自動車検査証記録事項」という紙で確認することができる。しかし、継続検査を受けて電子車検証に切り替わったユーザーの多くが、この自動車検査証記録事項を電子車検証と一緒に保管していないというのだ。

 車検証や車検ステッカーを、車検後に郵送受け取りしていたオーナーは、従来通り車検証(電子車検証)をクルマに入れておけばいいと判断して、自動車検査証記録事項を車検証入れに入れている人が少ないという。

 法規的にも、自動車検査証記録事項は車検証のように車両運行時にクルマに備え付ける必要は無いのだが、これがないと自動車査定時のロスタイムが多くなるというのだ。

 情報が無くて焦る営業マンも大変だが、待たされる私たちも無駄な時間を浪費することとなる。クルマを買い替えるというハッピーイベントの時に、待ち時間の長さでイライラするのは勿体ない。自動車検査証記録事項が、車検証入れの中に入っているかは、今すぐ確認してほしい。

 もしも入っていなかったという人は、車検証閲覧アプリからPDFデーターをダウンロードし、それを印刷しておくこともできる。早めに用意しておいて損はないだろう。

 手数料は上がるし、査定待ちは長くなるし、査定士さんの業務にも支障が出るしと、電子車検証で得している人はいるのだろうか。実際に電子車検証での継続検査は、まだ実施された件数は少ないだろうから、これからが本領発揮と考えたい。

 ただ、現状を見ると、私たちが電子化についていけてないのではなく、電子化がカーライフのあり方についてきていないような気がするのだが。「電子化してよかったね」と思える日は来るのだろうか。

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