【2020年4月法改正の落とし穴】信号待ちの「思いやり消灯」が違反になるのか!??

思いやり消灯は違反になるのか?

都内で夜間信号待ちをしているとおもてなし消灯をよくみかける
都内で夜間信号待ちをしているとおもてなし消灯をよくみかける

 では、信号待ちでの前のクルマや対向車線のクルマが眩しい時に、ライトを消灯する、いわゆる“思いやり消灯”は違反になるのか?

  最近ではLEDランプの普及とともに昼間でも状況によっては、対向車のヘッドランプ(やデイライト)が眩しく感じられる場合もあるから、停車時にオートライト機能をオフにする行為もマナーとしては間違ってはいないと思われるのだが……。

 まず、道路交通法の第52条第2項「灯火の制限」には、「車両等は、夜間、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と記載されている。

 さらに「自動車等は、夜間、他の車両等と行き違う、または他の車両等の直後を進行、他の車両等の交通を妨げるおそれのあるときは、前照灯の光度を減じ、または照射方向を下向きにするなどの操作をしなければならない」と定められている。

 つまり、ハイビームが原則であって、対向車や先行車がいない状況では、より遠くを照らすことのできるハイビームを活用して、自転車や歩行者、道路上の障がい物等を早めに確認することを警察は推奨している。

 そのうえで、街灯の多く設置された市街地や、交通量の多い道路等、他の車両等の交通を妨げるおそれがある場合には、ロービームに切り替えるように求められる。

 しかし、現実的には市街地では常時ハイビームではロービームへの切り替えを頻繁に行わねばならず、警察による取り締まりも夜間の山間部など見通しの悪い道路状況を除いて実施されてはいない。このように灯火の使用に関しては、どうしてもグレーゾーンが存在するのだ。

 今回の道交法の改正によって、ロービームは「手動による解除ができない」すなわち「常時点灯」が必要とされ、ロービームが対向車などに対して眩しくても、消灯してはいけないことになった。

 それでも、旧式(になってしまう)のオートライトの解除が可能な場合や、発進時の自動復帰の機能が備わっていれば、車両がドライバーの意志により停止時に消灯した場合には、違法となる可能性はあっても、取締りの対象とはなりえないはずだ。

 従来の手動による操作で同様の作業を行っても、路上で車種・年式で判断することは現実的ではないだろうから、当然の話ではある。

 ちなみにヘッドライトの無灯火による違反点数は1点、反則金は大型7000円、普通及び2輪車で6000円、小型特殊、原付で5000円。

 各ヘッドライトの寿命だが、ハロゲンバルブは約1000時間(約3年)、HIDは約2000時間(約5年)。

 これに対してLEDライトは、約10000時間(15年)という長寿命。ただし、これは適切な放熱が行われるという条件下でのもの。

 ちなみにLEDでもHIDでも新品時に比べて光量が70%に落ちた時点が「寿命」とされている。おそらく、オートライトが義務化になると点灯時間が長くなるためライトの寿命は短くなるだろう。

オートライト義務化による注意点

 最後に、オートライト義務化による注意点をいくつか挙げてみたい。

 まず、一つは義務化後にオートライト付きのクルマを買ったユーザーが、レンタカーなど非オートライト車を運転する際、うっかりオートライト付きと思い込んでしまい、無灯火で走ってしまうという懸念がある。

 さらに昼間の霧や豪雨、雪といった悪天候時に主に自車の存在をアピールするためのライトオンまでは対応していないこと。特に降雨時の高速道路など、昼間でもライトを点灯するべきだ。

 今回のオートライト義務化で何かが変わるかといえば、「気持ち」でやっていたことを「クルマが自動で」やってくれるようになるだけ。

 それを、新しい基準のオートライトを装着したクルマが増えることで、それ以外のクルマに乗っている人も含めて早期点灯を周囲に波及させていくことが大事ではないだろうか。

 重ね重ね言っておきたいことだが、オートライト義務化が適用されるのは、2020年4月以降に販売される新型車から。

 継続生産されている自動車や商用車への適用はさらに遅く、最終的には2023年10月までにすべての新車へ新保安基準に準拠した「オートライト機能」の搭載を済ませればよいことになっている。

 また、すでに販売されているクルマや中古車には、オートライト搭載の義務は課されていない。

 従来の車両はオートライトなしでも車検を通すことができるので、走っているクルマがほぼオートライト化されるのは少なくとも十数年先ということになる。

【画像ギャラリー】オートライトを装備しているクルマ一覧

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