価値しかなかったのに!! 生産終了の[レクサスGS]実力が計り知れなった件

価値しかなかったのに!! 生産終了の[レクサスGS]実力が計り知れなった件

 2020年に販売を終了したレクサスGS。SUVカテゴリーの台頭と、ISの大型化、そしてESの国内投入がGSを販売終了へと追いやった主な要因だが、GSというクルマは人気が無いというだけで消えていいクルマではなかったはず。GSが国内レクサスに与えてきた影響と、その存在価値を改めて考えていきたい。

文:佐々木 亘/画像:レクサス

日本にレクサスが上陸した際にラインナップされたのが2ドアクーペのSCとこのGSであった
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「現場」が大切にしてきたGSというクルマ

日本にレクサスが上陸した際にラインナップされたのが2ドアクーペのSCとこのGSであった
日本にレクサスが上陸した際にラインナップされたのが2ドアクーペのSCとこのGSであった

 2005年の国内レクサス開業と共にラインナップされたのがGSとSCである。開業当初のレクサスディーラーでは、2ドアクーペのSCを販売の柱とすることはできず、自ずとGSを売るということが主な仕事となっていた。

 レクサスというものが何者かもわからなかった当時のレクサス販売店スタッフは、GSというクルマの良さにどれだけ助けられたか分からない。アリストほどの派手さは無かったものの、グランドツーリングセダンとしての素性の高さは、国産車の中で圧倒的に高いものだった。

 高級車ブランドであるレクサスとして、ショーファーカーではなくドライバーズカーをはじめに売り出すことが出来たのは、その後のレクサスファンの醸成にも繋がっている。

 2006年にはレクサスブランド初のHEVモデル「GS450h」を追加した。世界初のFRハイブリッドは、燃費重視ではなくモーターアシストをターボチャージャーのように使用するパワー志向。胸のすくような加速感と、どっしりとした乗り味は、未だに多くのファンを抱えているのだ。

 今やレクサスのアイコンとなっているスピンドルグリルを初搭載したのもGSだった。GSは販売現場からも開発現場からも愛され、その寵愛を一手に受けてレクサスと共に成長してきたクルマなのである。

 レクサスブランドが作り上げる、時の最高傑作は常にGSの最新型だったと筆者は思っている。そのクルマが消えたことで、特に販売現場におけるブランドの積み重ねが、総崩れになってしまったような感じを受けるのだ。

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GSが越えさせた歴史の壁

レクサスがターゲットにしていたドイツ御三家に対しての強みはGSオーナーさんから聞き出すことができた
レクサスがターゲットにしていたドイツ御三家に対しての強みはGSオーナーさんから聞き出すことができた

 日本国内でレクサスがどうしても超えられない壁がある。それが「歴史」だ。ドイツ御三家が主なライバルになるわけだが、メルセデス・BMW・アウディに対して、どうしても歴史の浅さが際立ってしまう。

 レクサス開業当初から10年以上、販売現場の悩みの種だった歴史だが、開業から15年に迫ろうとしていた頃、やっと販売現場に重厚感が生まれてきた。現場の気づきも大いにあったが、とても貴重だったのはドイツ御三家を渡り歩いて、レクサスGSに着地してくれたオーナーの声である。

 レクサスにあってドイツ御三家に無いもの、すなわちレクサスの武器はGSオーナーの声から知ることができた。その逆もしかりで、レクサスに足りないこともGSオーナーから数多く教わった。

 GSを選ぶ人は、自ら運転することを好み、クルマをよく知っている人。だからこそ、その意見は芯を食っている。GSオーナーに満足してもらうということが、今のレクサス販売店を作り上げたといっても、過言ではない。

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継承者(車)不在の今、レクサスはどうなるのか

GSは現在消えてしまってしまったが、独特のレクサス感を感じられる1台だっただけに復活も期待したいところだ
GSは現在消えてしまってしまったが、独特のレクサス感を感じられる1台だっただけに復活も期待したいところだ

 開業から20年が経過しようとしている今、創成期を支えたGSオーナーも開業当初の販売店メンバーも少なくなり、一部のレクサス販売店では歴史の積み重ねを感じられなくなってきている。

 日常の中に運転することの喜びを感じさせるのが、GSの運転感覚だった。限界走行を試さなくても自然で気持ちのいい乗り味は、レクサス独特の運転感覚と言ってもいい。確かに現行モデルの走りは良くなったが、その良さを日常域でどれだけ感じられるかというと、GSほどではない気もする。なんだか説得力に欠けて、魅力が薄っぺらく感じてしまうのだ。

 平坦だった日常を、魅力的に変えるのがレクサスの本質だったはず。クルマも販売店のおもてなしも、日常の中にある楽しさであり、日常の中にあるからこその特別な演出だったと思うのだ。

 その日常が、今どこかへ遠くへ行こうとしている。ここに気づき、歴史を継承する者(モノ)がレクサスに残っていると信じたい。新しいことへの挑戦も必要なことだが、レクサスには、もう少し過去を振り返る時間を増やしてほしいところ。

 軌道に乗り始めた今こそ、その源へ戻ってみてはどうだろう。レクサスブランドステートメントには、その答えが常に記されているのだから。

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