ご存知清水草一氏が、今はなき自動車評論家の前澤義雄氏と共に連載していた人気企画『デザイン水かけ論』。他記事では連載当時に頻出したデザインの重要ワードを振り返ってきたが、ここではそのワードを複数兼ね備えたあのクルマを取り上げる。
※本稿は2025年2月のものです
文:清水草一/写真:マツダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年3月26日号
バランスと調和……奇跡の「完全デザイン」車!
シンプルで端正で、かつ豊潤なデザインを持つクルマなど、滅多にあるものじゃない。しかし、そんな信じられないクルマ(現行車)が、世界に一台だけ存在する。マツダ ロードスターだ。
ロードスターのデザインはシンプルだ。ボディのどこを見ても、余計なラインやグラフィックはない。
現行スポーツカーとして世界一コンパクトなサイズながら、どの角度から眺めても、プロポーションは最高レベルのバランスを保っており、伸びやかで美しく、端正そのものだ。
それでいて、そのフォルムのそこかしこに、豊潤さが感じられるのである。特にキュッと持ち上がったリアはセクシーで、強いエロスを感じさせる。これぞ完全バランス! 現代のミロのヴィーナスと言っても過言ではなかろう。
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