日産が新しい自動運転技術を2027年に市販すると発表した。この技術、高速でしか使えないACCベースのものとはレベルが違う。ところでいったい、どんなクルマが積むのだろう?
文:ベストカーWeb編集部/写真:日産自動車
ドライブのスタートから自動運転が可能に!?
「プロパイロット3.0」と呼ばれるのかどうかは不明だが、日産の新しい自動運転は画期的な進化を遂げそうだ。
これまでのACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)に代表される機能は、利用場所が高速道路など「ドライブルートの一部」に限られた。
プロパイロット3.0は別モノになると予想する。カーナビに目的地を設定し、スタートを指示した瞬間から運転支援が始まる。駐車場に停まっていれば、そこからの出庫自体をクルマが担うのだ。
この機能、すでにテスラや中国車が実現している「NOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)」というもの。一見完全自動運転に思えるが、ドライバーがよそ見できず、万一の際は運転操作に復帰する必要があるため、レベル2+に留まる。逆に言えば導入の敷居が低いのだ。
ノートやマーチへの搭載は厳しい?
この技術だが、これまで日産が鍛えてきた危険回避技術「グランド・トゥルース・パーセプション」をベースに、イギリスの新興AI企業「ウェイブ(Wayve)」社のシステムを組み合わせたものになるという。
ちなみにウェイブ社の自動運転用AIは、運転に必要な認知、判断、操作をひとつのAIで行うE2E(エンド・トゥ・エンド)型。高度なデジタルマップにも頼らず自動運転が実現できるため、地図が未整備な地域でも運用が可能になる。
さて、この画期的なシステムを積む最初の日産車はなにか。ポイントはシステム一式のコストだろう。
たとえば現在日産が横浜で実証実験を行っているセレナは、LiDAR6台、レーダー9台、カメラ14台を搭載する。市販システムにここまでの冗長性は持たせないだろうが、それでも相当なコストアップになることは間違いない。
となるとノートやマーチといったリーズナブルなモデルでは実現しにくい。技術の革新性から考えても、日産のイメージリーダーとなり得るクルマが初採用するするはずだ。
編集部としては、復活が期待されるスカイライン(=インフィニティQシリーズ)に搭載してほしいと思うがどうだろう。「やっぱりSUVだろ……」と考えるなら、北米や中国で売るパスファインダー(=インフィニティQX60)の次期モデルあたりが候補となりうる。
うっかり事故の低減にもつながりそうな日産の新システム。日産再生の強力な武器になることを願おう!
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