カローラから年間販売台数1位の座を奪い取ったフィットが、今や見る影もなくなった。フリードやヴェゼルには売り負けてしまうし、需要はN-BOXに取られるし、ホンダの中でも影を薄くしている。他メーカーのコンパクトは、そこそこ元気なのに、なぜフィットだけが低迷してしまったのか。フィット復活の可能性を探る。
文:佐々木 亘/画像:ホンダ
【画像ギャラリー】かつてカローラを撃墜した名車 歴代フィットの歴史をプレイバック!(18枚)画像ギャラリーヤリスとノートよ置いて行かないでくれ!
2024年の年間販売台数から振り返っていこう。フィットは6万1808台と2023年よりは健闘したが、好調に売れているとは言い難い状態。ライバルのヤリスは8万1940台と堅調で、ノートもオーラとの合算で10万台を超えている。
フィットと同程度の売れ行きなのは、トヨタ・アクア(6万4180台)だから、綺麗にヤリス分の差をトヨタとは付けられている形だ。コンパクトカーで人気なのは、ソリオやルーミーだが、それでも6~7万台をウロウロしている状態。コンパクトカー市場は、ハイトワゴンでなければ売れないというわけではないのである。
ホンダの中では台数の稼ぎ頭であるべきフィットが、登録車ではヴェゼル・フリードに次ぐ3番目に甘んじ、N-BOXにはコールド負けを喫している状態だ。
もう改良はやり尽くしたのか?
現行型が登場したのは2020年2月のこと。前評判はよく、販売の初動も月販目標の3倍以上と勢いがあったのだが、すぐに収束。2022年にマイナーチェンジを行い、待望のRSグレードが追加されたものの、現在まで発売当初の勢いは戻ってきていない。
2024年は8月に一部改良を行ったのみで、その改良もオートリトラミラーや前席オートパワーウィンドウ、助手席シートバックポケット、ラゲッジルームランプの全車標準装備化が軸という、なんとも寂しい内容。グレード別に見ても、HOMEとCORSSTARで本革巻ステアリングホイールとセレクトレバーが採用された点が大見出しに来てしまう程度で、目新しさがほとんどなかった。
登場から今年で丸5年が経過し、モデル末期と言えばそれまでなのだが、ヤリスやノートは予防安全装備が改良されたり、特別仕様車が登場したりと話題性がある改良が行われ続けている。登場時の完成度が高かったフィットは、もう改良の余地が無いところまで、クルマが仕上がっているということなのだろうか。
目に留まるデザインを採用することが一番の薬では?
4代目となる現行型のフィットは、よく言えば端正な顔立ちなのだが、ライバルと比べて顔が薄い。印象に残りづらいこのデザインを、まずはフィットらしく変えていくことが、復活への第一歩となるだろう。
先代までのような、スポーティで力強いフロントマスクに戻すことができれば、フィットというクルマのイメージが残る。今のデザインは、優しいのかカッコいいのか、かわいいのか幾何学なのかが分かりにくく、フィットを見ても感情が「無」のままなのだ。せっかくなら多くの人は、心動かされるデザインのクルマに乗りたいと思うだろう。
ヤリスもノートも、各メーカー共通のアイコンが入り、トヨタ顔・日産顔になっている。対してフィットは、何顔なのだろう。ホンダ自体に、しっくりとくるホンダ顔が無いことも、フィットのデザイン迷走に拍車をかけている気もするのだ。
売れているフリードもヴェゼルも、切れ長のヘッドランプデザインが特徴的。フルモデルチェンジとはいかなくても、マイナーチェンジでデザインが変えられれば、クルマの素性は良いだけに、復活の足掛かりとなるはず。
人は見た目が9割と言われるが、クルマも見た目が9割か。印象的なデザインは、フィットをかつての爆売れ状態に戻してくれるかもしれない。
コメント
コメントの使い方だんだん内装が安っぽくなってく
そのような場合には選択肢から消える
あのフロントデザインはちょっと、、アレですよね。NWGといい、魅力感じません。
ホンダのデザインセンスも落ちましたね。
乗ってみると現行フィットはとんでもなく良い車です。
いかんせん顔が残念です。
そりゃ、かっこ良いとは言えないもん。
可愛らしい、フレンドリーさを狙ったんだろうけど、いまいちねえ…
シトロエンピカソ