現代のクルマのほとんどが、フロントにエンジンを置き、前後どちらかのタイヤを駆動させている。前輪駆動であれば、フロントエンジン・フロントドライブとなるので略は「FF」、逆に後輪駆動なら、フロントエンジンリアドライブとなるので「FR」だ。何気なく使うFFやFRだが、「直進安定性があるのは?曲がりやすいのは?」などと聞かれたときに、即答できないこともあるのではないだろうか。意外と勘違いが多い駆動方式を正しく理解するには、旅行用のキャリーケースを使って考えると良いんです!
文:佐々木 亘/画像:レクサス、トヨタ、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】代表的なレクサスのFFとFRを大紹介!(14枚)画像ギャラリーキャリーケースによる説明はレクサスでも使われていた
筆者がキャリーケースによる駆動方式の説明に触れたのは、レクサスでセールスコンサルタントをしていた時代のこと。新規配属者研修という、レクサスのイロハを教わる場所で教えていただいたのが始まりだ。
非常に分かりやすかったこの説明方法は、自動車販売の現場に戻っても良く使っていた。特にレクサスではFRモデルが多く、FFとのドライブフィールの違いを尋ねられることが多くあったので、この説明方法を学んでいたことで、だいぶ助けられた思い出がある。
それでは実際に、キャリーケースを使用した駆動方式の超分かりやすい覚え方をお伝えしていきたい。
駆動輪は自分が務める
まずはFF車の動きを、キャリーケースを使って確認していこう。役割分担は車体がキャリーケース、人間は駆動輪となる。
FFの場合、前輪が駆動するため、人間はキャリーケースの前に立っている状態だ。このまま、駅などでよく見かけるように、キャリーケースのハンドルをつかって引っ張ると、FF車の動きがそのまま再現される。
この体勢は、キャリーケースと共にまっすぐ歩いていくときによく使う形だ。つまり、FFは車体の直進安定性が高く、まっすぐ走ることに長けている。
ではFRの場合はどうなるのか。今度はキャリーケースのハンドルを格納して、人間がキャリーケース後ろに立つ。キャリーケースを動かす時には、ケース自体を手で後ろから押してあげる形だ。これがFRのクルマの動きをよく再現している。
キャリーケースを後ろから押していると、どんなに細かいカーブでもスイスイと曲がれることが分かるだろう。これがFRの特徴である小回りが利きやすいという特徴をよく表現したものだ。また、体とキャリーケースが近づいている分、動き出しが軽く操縦しやすいことも分かるはず。FRの場合、前後重量配分を理想的な値に近づけやすく、操縦が楽しいというのも、この方法ならすぐに体感できる。
逆にそれぞれが苦手なことも、キャリーケースを使えばよく分かる。キャリーケースを体の後ろのおいて引っ張る状態だと、キャリーケースをコントロールするのが難しく、特に細かいカーブを上手く回ることができない。キャリーケースの動きが、カーブを大回りするようになってしまうのだ。これは、FF特有のアンダーステア(クルマが旋回中に、外へ逃げていく動き)の状態に近い。
逆にキャリーケースの後ろから押すカタチになると、まっすぐキャリーケースを動かすことが難しくなることが分かると思う。力の入れ加減を間違うと、すぐにキャリーケースは明後日の方向を向いてしまうのだ。これはFRのオーバーステアを表したもの。直進安定性はFFの方が高いというのは、こうしたキャリーケースの動きからも学ぶことができるだろう。
FFとFRの特性は、文字で見るとややこしいが、このように身近なモノで体感してしまうと忘れることは無い。クルマの基本となる駆動方式について、この機会に理解を深めてみてほしい。
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コメント
コメントの使い方FFは旋回中にアクセルオンで限界を超えると駆動輪のフロントが外側に滑り出すことにより、車の動きは大回りになる(アンダーステア)。FRは旋回中にアクセルオンにより限界を超えると、駆動輪のリヤが外側に滑り出すことにより、車が巻き込みスピン状態となる(オーバーステア)。
この原理を理解するのにそれほど難しくない、むしろキャリーケースの説明をイメージするほうがややこしいと感じた。
もともとキャリーバッグって引くように作られているはずだから、フラフラするのはキャスタートレールのせいじゃないかな?あと幾何学的旋回と遠心力がかかるコーナリングの概念がごっちゃごちゃのきもします。まあ、初心者向けの説明としてはわからなくもない。
FFにこだわった本田宗一郎も、徳大寺氏との対談で同じ表現をしていましたね
馬車は前から引っ張るもので、後ろから押すものではない
自然を見ればわかるんだよ、のようなことを言っていました
>>キャリーケースを体の後ろのおいて引っ張る状態だと
前ですよね
キャリーケースの例はなあイマイチだと思います。後ろから押すなんて、不安定で使えない。
ffの隆盛は、舵角あっても効率的に動力伝達できる技術が小型安定化したからでしょ。
後輪への動力シャフトと差動機のロスも省略できるし。
キャリーケースを押してるときは、押してる人が曲がろうとしてるから、曲がれてるわけで、まっすぐ行こうとしてる人をキャリーケースのタイヤのグリップで曲げてるわけではないので、例え話になってないと思う。
日産の櫻井さんは全ての動物は後ろ脚で駆けると言ってFRにこだわった、そして前脚は補助するからとアテーサETS。