均一だけでなく多様性も……クルマにも音楽のようなストーリーがほしい
さて、豊田章男会長の想いはどこにあるのか、ラリー三河湾でのデモランの合間に取材した。
「ボクは子どもの頃から音楽が全然ダメでした。ほかの科目は5もありましたが、音楽だけは1でした。歌も楽器も自信がなくコンプレックスに思っていた時期もありました。でもそれだからこそ、素直に音楽の素晴らしさを感じることができるようになったと思います。
例えば歌はそれこそ星の数ほどあり、その歌が好きなファンも星の数ほどいるわけです。新曲だけが人気があるわけではなく、1960年代や1970年代、1980年代の曲も、聴く人によって、それぞれの思い出やそれぞれのストーリーが存在し、色褪せるものではありません。
この多様化した世界こそ、クルマにも必要だと思うのです」
豊田章男会長はマスタードライバーとしてスペックよりもストーリーが大事と常日頃語っている。「もっといいクルマをつくろうよ」「モビリティカンパニーに生まれ変わる」「世界一よりも町一番」「自分以外の誰かのために」……etc。豊田章男会長の言葉にはどれもスペックの話は出てこない。
スペックを言えば、そんなクルマばかりが生まれ、多様性が失われ、会長が最も嫌う、かつてのトヨタ自動車に戻ってしまうからだ。みんなで考え、よりよい商品をつくっていくことで、必然的にストーリーが生まれ、クルマの魅力につながると考えている。
マスタードライバーとして壊しては直すを繰り返し、鍛え上げたGRヤリス、徳川幕府も15代で終わっている、そろそろ、明治になったらどうだ、から生まれた16代目クラウン、タクシー専用車のアドバイスを逆手に取ってつくられたプリウス……etc。
それぞれ個性的なストーリーが生まれ、お客様に愛されていく。
音楽が持つ多様性とストーリー性を学ぶこと。クルマはもっとエモーショナルな存在であっていい。そこにもっといいクルマづくりのためのヒントがある。
余談だが「モリゾウさんカラオケもやるんですか?」の問いには「もちろんだよ。十八番(おはこ)は秘密。機会があったら聴かせるよ!」と答えてくれた。
CEIPA(セイパ)とは?
CEIPA(一般社団法人カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会)は日本の音楽業界の主要5団体である日本レコード協会、日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、日本音楽出版社協会、コンサートプロモーターズ協会がそれぞれの垣根を越えて設立した団体だ。
グローバル化とデジタル化を加速させることで音楽産業を活性化し、人材育成や文化の普及活動を行っていこうという狙いがある。
具体的な取り組みとして、日本やアジアの音楽を世界に発信し、海外アーティストの日本進出を促進すべく2025年5月21、22日には国内最大規模の音楽賞MUSIC AWARD JAPANを開催する。こちらはNHKでの地上波放送に加え、YouTubeで全世界に配信される予定だから注目だ。
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