トヨタグループがCEIPAと共にMUSIC WAY PROJECTを立ち上げた。人づくりと場づくりを通して、若い才能が世界に羽ばたく環境づくりを行っていくというもの。「音楽から学ぶべきものがたくさんある」と語る豊田章男会長。その真意は!?
※本稿は2025年3月のものです
文:ベストカー編集部/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年4月26日号
トヨタグループと「音楽」
CEIPA(一般社団法人カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会)とトヨタグループが立ち上げた「ミュージックウェイプロジェクト」。
日本の才能ある若いアーティストたちに多くの発信する機会を作り、世界で活躍する人材へと成長させることで、世界中の人々から日本の音楽に関心を持ってもらうことを目的にしている。
「日本の音楽が世界をドライブする」というキャッチフレーズのもと、「人づくり」と「場づくり」でトヨタグループが積極的に支援していくという。
具体的には学生人材のための寄付講座やクリエイターとのワークショップ、2025年秋に開業するトヨタアリーナ東京の活用やトヨタグループの海外拠点との連携による活動のサポートなど多岐にわたる。
しかし、なぜトヨタグループが「ミュージックウェイプロジェクト」を始めるのか? そこには豊田章男会長の強い想いが込められていた。記者発表会に登壇した会長のスピーチから一部抜粋する。
「私は日本が大好きなんです。だからこそ世界から必要とされる日本であり続けてほしいと願っています。(中略)
50年前、私自身もフィールドホッケーの日本代表でした。日の丸を背負う誇りや応援で得られるパワーは本当に凄かったと今でも記憶しています。オリンピックやパラリンピックで選手達が応援されている姿を見ていると、自分まで勇気づけられる気がしてきます。
ただ……悔しく感じることもありました。例えばモータースポーツ……世界に挑戦する若者はいますが、残念ながら、その応援は野球やバスケほどではありません。さらに言えば……我々、自動車産業も日本代表として戦っているつもりですが、なぜか日本では、そのことを理解してもらえていないと感じます。
そんな悔しさを感じている時に、CEIPAの皆さんや都倉さん(都倉俊一文化庁長官)にお会いいたしました。そこで日本のエンタテイメントも、やはり日本のために世界で戦おうとしていることを知りました。私は、純粋にそれを応援したいと思いました。
クルマには数値で表すスペックというものがあります。以前のトヨタはクルマのよさをこうしたスペックで語っていました。クルマは量産品です。均一に作らなくてはいけません。こうした数値が大切だということはわかっています。
しかし私が考えるクルマのよさは数値だけで示せるものではありません。クルマはもっとエモーショナルなものだと思っています。私自身ドライバーとしてクルマの開発に関わりますが、大切にしているのは体に伝わってくる乗り味です。数値ではありません……。
そうして作られた車にはストーリーが宿ります。数値も大事ですが、私は一台一台に込められたストーリーをもっと大切にしていきたいと考えています。音楽にはストーリーがあります。(中略)
私は、クルマをもっともっとエモーショナルな存在にしていきたいと願っています。私たちトヨタは音楽から学ぶべきことがまだまだあるはず……と感じました」
豊田章男会長は「もっといいクルマづくりに音楽から学ぶべきものがある」と言っている。その点を深掘りしよう。


















コメント
コメントの使い方