■リコール費用の予算は各社想定内!?
井元氏はこう話す。
「日本の自動車メーカーの場合、リコール費用は一般的には、品質保証のために“プールした予算”をそれに引き当てています。今回のトヨタプリウスもそうしているはずです。
また、リコール費用の金額が大きくなった時には“特別損失”として計上し、利益は下方修正されるのが一般的です。
利益が少なくなるので法人税の面では有利ですが、業績悪化とみなされ、株価に影響しますし、大株主も色めくところですね」
と、プリウスのような100万台規模の大量リコールが発生しても、メーカー側がびくともしないワケを説明。年度予算のなかに、リコール対応費用を“プールしてある”から慌てることもないということだ。
で、実際のところはどうなのか。トヨタ広報部へ聞いてみたら……。
「決算報告書のある項目のなかの一部として、リコール対応用の金額がプールされているので、それで対応しています。今回のプリウスのように100万台規模のリコールがあったからって、もちろん赤字になることはありません。そのようなリスクに備えて、プールしているわけです」と、やはりこちらが考えていたことを実施していることが判明した。
■わずか1台1万円でも1000億円かかる!
リコール費用の具体的なところをもう少し続けると、2009年、トヨタが米国市場でアフターマーケットのフロアマットを敷くとアクセルペダルが戻らなくなる、というリコールを出したことは記憶に新しい。
交換する部品はそれほど価格の高くないアクセルペダルや一部のスロットルボディなどだったが、それでも台数が自主回収や修理を含めて約1000万台にのぼったため、費用も1000億円ほどかかったという(ビックリ!)。
1台あたり1万円という計算になり、これはソフトの書き換えに比べて高額のケース。
1台1万円といえど、それが世界的大ヒット車となると、なにかと“事件”になることがよくわかる事例だ。
最後に本音と希望をいわせてもらえば、リコール費用をプールしなくてもすむクルマ界に早くなってほしいもんです!
■まとめ
対策費用がスタンバイされているといってもリコールがないのに越したことはない。それはメーカーもユーザーも望むことだ。
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)

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