アナログ・デジタルと様々な表示形態のあるクルマの計器類。最近ではメーター自体がディスプレイになっている車種が増え、表示の仕方も多様化してきた。ただ、表示するモノが多すぎて、情報過多になっている一面もある。計器類に大切なのは、直感的な見やすさだ。ちょっと暴走し始めているクルマのメーターを、改めて考え直してみないか。
文:佐々木 亘/
【画像ギャラリー】ユーザビリティ抜群! 世界的ロックバンドのCMが印象的だったスイフト集!(16枚)画像ギャラリーもう少し統一感があってもいい
ディスプレイ化されたメーター機器は、様々な表示形態が出てきているが、基本に立ち戻ることも必要ではないだろうか。左にタコメーター(ハイブリッドインジケーター)、右にスピードメーター、真ん中にインフォメーションという配置が、日本車の基本的なメーターの位置になっていたはず。
スポーツカーでメーターの真ん中にタコメーターが配置されるのはまだいいが、インフォメーションの量が多すぎて、速度や回転数が非常に見にくいクルマが、最近増えてきているように感じるのだ。
現行車で見づらさトップクラスに位置するのが、ノア・ヴォクシー。オプティトロンメーターと7.0インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを組み合わせた3眼タイプなのだが、スピードメーター周辺のゴチャつき具合が半端じゃない。
スピードメーターとインフォメーションが7インチディスプレイに集約されていて、小さなアイコンが無数に出てくるし、スピードメーター文字盤と針の色がどちらも白なので、今どのくらいのスピードが出ているのかが分かりにくいのだ。
ヘッドアップディスプレイがオプション装着されていれば、ほとんどメーターに目を落とすことは無いが、無い時には情報過多のメーター内へ目を落とし、運転中に読み解かなければならない。
見やすいメーターは、安全な運行にも寄与すると思うのだが。使いやすさを考える上で、メーターデザインにも力を入れてもらいたいものだ。
アナログメーターの最高峰!スイフトのタコメーター
針式メーターで、運転に必要な情報が非常に分かりやすかったのが、2004年登場のZC11S型のスイフトだ。一般的な3眼式で、左からタコメーター・スピードメーター・燃料と水温計が並ぶ。白文字に赤い針で、針の動きが分かりやすかった。
特に秀逸だったのが、タコメーターのデザイン。0回転で針が真下を指すようになっていて、変速タイミングの3000~4000回転がほぼ真横に位置し、レッドゾーンの6400回転で針は真上を指す。回転数の数字を読まなくとも、針の位置でクルマと対話できるのが素晴らしかった。
現行型のスイフトでは、一般的な左下斜め30度くらいが0回転を指すタコメーターで、ZC型のタコメーターは姿を消してしまったが、スイフトスポーツでは現行型でも0回転が真下を指すZC型のタコメーターデザインを踏襲している(レッドゾーンが真上ではなくなったが)。
メーターからの情報は読み取るより感じ取りたい
大型ディスプレイ化が進み、メーター内の情報はさらに煩雑化が進むだろう。今一度、計器に必要なことを考え直さないと、情報ばかり増えたメーターは、ドライバーを大きく悩ませる存在になってしまう。
針式でもディスプレイでも、デジタルでもアナログでも、情報を大まかに感じ取れる寛容さが欲しいところ。あくまでもメーターは、運転中にチラ見する場所だから、読みやすさよりも感じ取りやすさが重要になってくる。
最近の傾向を見ていると、針式と大型ディスプレイの合わせ技が、メーターを見づらくする元凶のようだ。大型ディスプレイ1枚にして、どのような表示をするのかを考えることが、これからのメーターづくりに必要なことだろう。
ヘッドアップディスプレイなどの補助装置なしでも見やすいメーター機器の開発を、切に願いたい。
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コメント
コメントの使い方スイスポ(33s)はスピードメーターが260まであるので一番日常で使う0-60が小さくはある。まぁ、別に酷い老眼でもなければフツーに見れる範疇だが…
どうしても見辛きゃ2型以降はデジタルメーターも表示可能
スピードメーターが220キロまであるのが無意味だし、燃料計と温度計が小さくて見にくい。
BRZ/GR86も先代途中から0が真下かつ視認性高いメーターです。
とはいえスイスポ同様、それが解りやすいかは人それぞれですね。私は好きですがコースのシフト域によってはちょっと・・な場面も。
GRヤリス前期もアナログメーターで視認性抜群でしたが、あれは後期型やGRカローラのデジタル版でも見易く感じました。
スバルだとアウトバックは見易く、クロストレックやレヴォーグ系は微妙かも。嗜好次第ですね。