交換を怠っているそこのアナタ!! 結局スタッドレスタイヤはサマータイヤと何が違うの?

交換を怠っているそこのアナタ!! 結局スタッドレスタイヤはサマータイヤと何が違うの?

 冬になると必要なシーンが多いスタッドレスタイヤ。黒くて丸いという大まかな特徴はサマータイヤと同じだ。しかし、サマータイヤは雪上や氷上を走ることが出来ない。なぜスタッドレスタイヤはそのような状況でも走行することが出来るのだろうか? その理由に迫っていこう。

文:西川昇吾/画像:Adobestock(トップ写真=siro46@Adobestock)

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大きくて深いブロックパターンの溝の理由は?

スタッドレスタイヤは性能のバランスを取るのが非常に難しい(琢也 栂@Adobestock)
スタッドレスタイヤは性能のバランスを取るのが非常に難しい(琢也 栂@Adobestock)

 まず、スタッドレスタイヤとサマータイヤを見比べてスグに分かる違いがある。それが溝の深さだ。スタッドレスタイヤはサマータイヤよりも深いブロックのようなトレッドが特徴的だ。

 この深いブロックパターンが雪上を走行した際に雪を踏んで固めてくれ、固めて雪を蹴り出してグリップ力を発生させる。これを「雪柱せん断力」と呼ぶ。深い溝がないと雪を踏んで固めることはできないため、特に深雪を走るときは深い溝が必要なのだ。

 溝を深く、そして大きくしていけばより多くの雪をかき分けることができるが、そうしていくと氷上やウェット路面、ドライ路面での性能が落ちてしまう。スタッドレスタイヤは性能のバランスを取るのが難しいのだ。

細かな溝もあるぞ! 

細かな溝である「サイプ」だが、なくてはならないものである。侮ってはならない(tkyszk@Adobestock)
細かな溝である「サイプ」だが、なくてはならないものである。侮ってはならない(tkyszk@Adobestock)

 そしてよく見ると分かるスタッドレスタイヤ独自のポイントがもう1つ、それがトレッド面に細かな溝が彫られていることだ。

 これは「サイプ」と呼ばれるもので、氷上でのグリップ力の確保に大きく影響している。氷上で滑る原因となるのは氷とタイヤの間にある水膜だ。細かい溝であるサイプはこの水膜を吸い上げる効果を持っている。

 また、サイプの起点は氷を引っ掻いてグリップ力を得るエッジ性能を発揮する役割も担っている。エッジ性能はブロックの角でも発生させている。

 ちなみに、現在は少なくなったがかつては「北海道限定スタッドレス」というものがあった。北海道地域限定で販売されていた銘柄のスタッドレスタイヤだ。

 これらは通常のスタッドレスタイヤよりもブロックの感覚が狭まっていて、溝の幅が狭い。代わりにサイプがある場所がより大きく接地するようになっている。

 これは氷上性能をより高める狙いがあったからだ。現在では北海道限定スタッドレスは見かけないが、そのようなアイテムがあったことを考えると、北海道ではより氷上性能が重要になってくるということだろう。

ゴムも柔らかい! 

どのようにして低温時でもゴムの柔らかさを確保するか、タイヤメーカーによって含む成分でアプローチが異なるところが、面白いところでもある(SRT101@Adobestock)
どのようにして低温時でもゴムの柔らかさを確保するか、タイヤメーカーによって含む成分でアプローチが異なるところが、面白いところでもある(SRT101@Adobestock)

 そして実際に新品のスタッドレスタイヤとサマータイヤを触ってみると、スタッドレスタイヤの方が柔らかいことに、多くの人が実感できるはずだ。

 これは柔らかいゴムで氷上の路面により密着させるためだ。路面に密着させるという目的はサマータイヤにもあるが、低温時でも柔らかさを保てるような素材を使用することで、氷上や雪上でもしっかりと路面にタイヤが密着するようになっているのだ。

 どのようにして低温時でもゴムの柔らかさを確保するか、タイヤメーカーによって含む成分でアプローチが異なるので、腕の見せ所という部分でもある。

 また、単純に柔らかくするだけでなく、耐摩耗性や時間が経過しても柔らかさを維持できるかという部分も考えられて設計されているのだ。

 一見すると同じように見えるかもしれないが、スタッドレスタイヤは雪上や氷上を安全に走行するために様々な独自のポイントがあるのだ。実際に見比べて見たらその違いは明らか。

 このスタッドレスタイヤ独自のポイントが分かれば、タイヤメーカー各社がどんな考えでスタッドレスタイヤを設計しているかも見えてくる。そうすればタイヤ選びがより楽しくなるぞ! 

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