低床・低重心でロールーフという、ミニバン界に新たなスタイルを運んできたストリーム。初代モデルの勢いは凄まじく、発売から10か月で10万台を超える大ヒットとなった。7人乗りでありながら7人乗らなくても十分楽しめるパッケージングは、神のワザとでも言うべきか。センスの塊である初代ストリームをプレイバック!
文/佐々木 亘:写真/ベストカーWeb編集部・ホンダ
【画像ギャラリー】今なら中古で十分狙える!? ストリームの時代がこれから来るかも??(8枚)画像ギャラリー7days 7seaterストリーム
ストリームのテーマは、毎日を楽しむための7シーター。5ナンバーで7シーターだからこそ、好きなことを・好きな場所で・好きな仲間と過ごす毎日を楽しむためのクルマに仕上がった。
広いだけではワクワクしない。必要だったのは、生活を豊かに彩る7シーターだ。
フロアを低く平らにし、室内高を高く取りながらも全高と重心を低く抑えるという独創の5ナンバースタイルは、何者にも似ていなかった。カテゴリー上はミニバンとなっているが、セダンでもありステーションワゴンでもありミニバンでもある。
ストリームは、高次元のスタイル・快適性・走行性能を一つに凝縮し、これまでのクルマには無かった価値と驚きに溢れたクルマだ。令和の今、このスタイリングが残らなかったのが不思議でならない。
2・3・4・5・7!? 幾重にもトランスフォームするシートが凄すぎる
ストリームの車室内は見た目以上に広く感じる。感じるというのは、数値上はそれほど広くないのだが、乗ってみると数値のイメージとは大きく違うということ。
5ナンバーボディに3列7人乗りというのは、かなり厳しいスタイルなのだが、広めにとられた足元スペースが、シート間の余裕を生み出す。低床プラットフォームから生み出される室内高の大きさも、室内を広く魅せるマジックだ。
まずは基本の7人乗り。フル乗車でもゴルフバッグが積み込めるラゲッジスペースを確保しているから素晴らしい。さすがに3列目は快適とは言い難いが、ある程度の距離なら乗って乗れないことは無い。
3列目を折りたためば、ステーションワゴンライクな5人乗りに変身。3列目はシートピローを取り外すことなく折りたためるリバーシブル仕様だ。左右独立で240mmのロングスライドをする2列目シートは、シート座面に厚みを持たせた快適仕様となる。
2列目シートのセンターアームレストを倒せば、長尺物も積み込める4人乗りが完成する。2列目シートはベンチシートながら、アームレストを倒すことでキャプテンシートのような使い方ができるのもイイ。
2列目シートは左右独立して倒すことができるため、大型の荷物を運ぶ時には片側だけを倒して3人乗りへ。そして2列目シートまでを倒すと、広大なラゲッジスペースが生まれる2シーター仕様となる。
2列目シートを倒した時でもラゲッジスペースには大きな段差が生まれないようになっているのがエライ。また、フロントシートを完全に倒して、2列目シートを起こしておけば、セミフラットモードというリラックススタイルにもなる。
この豊かなシートアレンジが、様々な世代から支持を受けるストリームの屋台骨となったのだ。
ミニバンなのに人馬一体となる走り
運転席に座れば、そこはコクピット。3連メーターにチタン調のメーターパネルは、ドライバーを高揚させるだろう。
ステアリングホイールを握ってドライブを始めれば、一味違う操作フィールに驚くはず。ステアリングホイールは、フレームに軽量高剛性のマグネシウムを用いていて、自然で軽快な操舵フィールをもたらしてくれる。
心臓部には、新世代エンジンiシリーズの第一弾として登場したDOHC i-VTECを搭載した。中低速の力強いトルクと高速での伸びはもちろん、低燃費にも寄与する新次元エンジンだ。
さらにサラウンドフレームボディでサスペンション取り付け部などが補強され、剛性を高めながらよく動く足も生み出した。この走りの良さこそが、ストリームの販売を大きく伸ばしたポイントである。
日本のミニバン市場に革命を起こしたストリームは、2世代14年で消えてしまった。ホンダからも、ライバルであるウィッシュを扱っていたトヨタからも、ロールーフミニバンは姿を消し、ストリーム・ウィッシュの築いたカテゴリーは、一瞬の流行のようにとらえられがちだ。
しかしながら、スタイル・快適性・操作性・利便性といったクルマに必要な各ポイントを、高い次元で融合させてきたのが、ストリームのカタチである。ここ10年以内には、またストリームに近しいスタイルのクルマが登場して、日本の自動車市場を大きくかき回してくれるはず。
令和の時代もまた、ストリームのようなゲームチェンジャーの登場に期待したい。
コメント
コメントの使い方エクシーガは何とか長く続きましたが、WISHもストリームも短命でしたね。当時5ナンに拘ったから?
同じ5ナンなら5人乗りとして割り切ってスタイルと燃費が良いカローラフィールダーや、プチバンとして割り切ってスペース効率よいフリード&シエンタがありましたからね。
とはいえ、3ナン化したジェイドも鳴かず飛ばずでした。あれは変則6シートなのも理由とは思いますが。