保険代理店は、保険の困りごとや事故対応など、いざというときに頼りたい存在です。ただ、頼られすぎて「ちょっと困ったな」と思うこともしばしばあります。そこで今回は、保険代理店が実際に体験した「こんな相談、正直キツい!」を紹介していきます。この機会に「保険屋さんの本音」をのぞいていってください。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(トビラ写真=Synthex)
【画像ギャラリー】保険代理店もおもわず頭を抱える!? 保険屋さんのホンネ!(3枚)画像ギャラリー「内容はまかせるので一番安い保険料で」といわれても……
保険契約において、最もよく聞かれることのひとつが「内容はお任せするので、保険料を安くしてほしい」というもの。多くの人は、保険料を抑えることが最優先だと思いがちですが、実はこれが保険代理店に対してとてもリスクの高いお願いをしているのです。
保険は単なるコストの削減だけではなく、万が一に備えるためのものです。保険をご提案する中で最も重要なのは、お客様にとって必要な補償内容を適切に設定すること。安さだけに焦点を当てて保険契約をすることは、絶対にNGなのです。
「安くする」こと自体は悪いことではありません。しかし、必要最低限の補償をしっかりと押さえたうえで、適正な価格を考えることが最も大切です。安さだけを追い求めるお客様は、契約後にもトラブルを連れてくるケースが多く、保険代理店としてはちょっと対応したくないお客様に見られてしまうことも。
「〇〇で“保険で直せる”って教えてもらいました」は鵜呑みにしないで……
車の修理費用を保険で賄う際、ディーラーや修理工場など専門家のアドバイスに従えば問題なく進むように思えます。しかし、実はここに落とし穴が隠れていることが多いのです。
ディーラーや修理工場は、自分のところの代理店で自動車保険に加入しているお客様に対してであれば、保険に関するアドバイスや手続きを行っても問題はありません。実際、多くのディーラーや修理工場が保険代理店として契約しており、保険の詳細についても把握していることが多く、正確な情報を提供してくれるでしょう。
ただし、修理を行うディーラーや修理工場が、自身の加入する自動車保険の代理店ではない場合、基本的に他代理店のお客様へ「保険で直せる」などとアドバイスするのは、NGの最たる例。自分のところの契約でなければ、何も言わないのがプロの仕事です。変な知識を自分たちのお客様へ植え付けてくる他代理店には、ちょっと閉口してしまいます。
「ネット保険だから聞きづらくて……ちょっとだけ教えて」って言われても
最近では、ネットで手軽に加入できる自動車保険が増えていますが、その反面、契約内容に不安を抱えるユーザーも少なくありません。実際、「ネット保険だから聞きづらくて……ちょっと教えてほしい」という相談が、代理店にも多く寄せられます。しかし、ネット保険の詳細について、代理店がアドバイスすることはできません。
保険代理店は、自分のところで取り扱っていない保険会社の商品について、アドバイスしたり説明したりしてはいけないというルールがあるのです。これを守らないと、保険業法に触れてしまうおそれがあり、代理店側にとってはとても大きなリスクになります。また、ネット保険の商品は会社ごとに仕組みが少しずつ違っていて、補償の範囲や免責の条件もさまざまです。
紹介してきたケースは、どれもユーザー側の悪気のないひと言でしょう。しかし、自動車保険の世界では、その「ちょっと」が大きな誤解やトラブルの引き金になってしまうこともあります。
たとえプロであっても、自分の契約以外の内容には簡単に口を出せないのが保険のルールです。よかれと思って伝えたアドバイスが誤っていた場合、あとから取り返しがつかない事態になることもあります。
こういった点からも口八丁手八丁の保険代理店と付き合うのは、あまり得策とは言えません。保険代理店は、必要な時に必要な事だけを教えてくれる、比較的寡黙なところの方が、信頼度は高いしょう。困った代理店からは早めに手を引き、自分自身が保険会社を困らせるお客様にならないように、気を付けてくださいね。






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