レクサスLMやアルファードのエグゼクティブラウンジのように、7~8名乗車のボディを持ちながら、大人4人を超快適に運ぶクルマが増えている。少し時代を遡ると、1990年代の終わりころにも、7名乗車のミニバンとプラットフォームを共用する、5ナンバーサイズのハッチバックがあった。初代イプサムからの派生車で、ミニバンのガイアとプラットフォームを共用するナディアは、後席が超快適なクルマだったぞ。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】人気お風呂映画で有名な某俳優もCMに出てたナディア! ホンダ オデッセイ対抗馬の姉妹車ガイアやイプサムもあるゾ!(15枚)画像ギャラリーセルシオを超えるレッグスペースで超広い
1998年にデビューしたナディア。ホイールベースはイプサムやガイアと共通の2735mmだが、全長はイプサムよりも105mm短い4435mmだ。現行型のカローラツーリングの全長が4495mmだから、5ナンバーサイズの全幅となるナディアが、どれだけコンパクトなクルマか分かるだろう。
曲面を多用したエクステリアデザインは、ミニバンにもトールワゴンにも見える。当時のトヨタは、セダンの動力性能とワゴンのユーティリティを高次元で両立させた「新しいセダン」と、ナディアを位置づけていた。
ナディアの特徴は、室内の広さにある。3列シートミニバンと同じプラットフォームを採用しながら、ナディアのシートは2列仕様。そのため、後席に割り振られるスペースが非常に大きくなっているのだ。
室内高は1245mmでヘッドクリアランスにはゆとりがある。室内長も1990mmと長い。さらにリアシートはスライド幅が180~200mmもあり、前席との間隔は最大で1020mmにもなるのだ。この数値は、セルシオよりも大きい。
大型のシートバックを採用して、背中全体で体を支えられるリアシートは、リクライニングにも対応。3人がけのベンチシートだが、中央部分には大型センターアームレストがあり、2名で座るには十二分に広いスペースだ。
対面シートにフロントベンチでフルフラット時はクイーンサイズベッドになる
クルマのこれからの考えた次世代ユーティリティビークル「ナディア」は、様々なアイディアに溢れたクルマでもある。特にシートアレンジは「発想次第でもっと自由になる」というコピーがピッタリの、技あり装備が多かった。
前期型のSセレクションに標準装備されていたのが、フロント対面シートだ。運転席、助手席共に180度回転する。旅先の駐車場では、電車のボックスシートのような楽しい空間がナディアの中に広がるのだ。
さらに秀逸だったのが、後期型のSグレードに用意されたフロントベンチシートである。ゆとりをもって座れる、たっぷりサイズのベンチシートは、シート中央にカップホルダーとコンソールボックスを備えた可倒式の大型アームレストを装備する。
このアームレストは、前だけでなく後ろにも倒れることで、フロントシートを両側倒してフルフラットにした状態にすると、リアシート座面との空間が無くなり、車内一面がベッドのように使えるのだ。
このシートアレンジは、最近の高機能ミニバンでも見ることは無い。フロント・リア共にしっかりとしたベンチシートだからこそ完成する、クイーンサイズベッドのようなナディアの室内空間は、車中泊をするにも重宝した。
ラゲッジにはゴルフバッグが3つ重ならずに入る
リアシートの広さが特徴のナディアだが、ラゲッジスペースも十分だった。
床面積が大きくフラットなラゲッジルームは、ゴルフバッグを3個並列における広さがある。重ねれば4個は余裕、5個くらい積めてしまいそうな大きさだ。さらに、ラゲッジルームの床下には、80L+40Lの床下収納まであるから驚く。
大人4人が快適に移動できて、荷物もたっぷりと積み込める、クラウンクロスオーバーのような使い方が、全長4.5mを切る5ナンバーサイズハッチバックで出来てしまうのだ。
時代の流れには乗れず1代限りで姿を消したが、シエンタやルーミーが絶好調の今、ナディアが復活したら面白い存在になるのではないだろうか。
余裕のあるクルマづくりが特徴的だったナディアは、自由な発想で使い倒したいクルマだった。


















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