トヨタ カローラフィールダーHV
HV関係のフィーリングはアクシオHVと違いはない。瞬発力も厳密にタイムを計ればフィールダーHVはアクシオHVに対して40kg重いため差はあるのだろうが、普通に使っているかぎりは同等だ。
クルマの仕上がりはアクシオHVよりもフィールダーHVのほうが上で、アクシオHVで感じられた弱点、安っぽさはほぼ感じられなかった。
特に乗り心地についてはテスト車として使った特別仕様車のエアロツアラーW×Bに標準装備され、カタログモデルにはオプション設定されるアルミホイール(サイズは175/65R15から185/60R15に拡大)の好影響もあるのか、上下動の収まりや全体的な落ち着きも不満のないレベルだった。
アクシオHV、フィールダーHVに共通するHV関係の弱点としてはアクアも同じなのだが、回生制動によりできる電気を無駄なく得ることが難しいことが挙げられる。
バッテリー容量が小さいため、バッテリー容量の大きいプリウスに比べブレーキを乱暴にかけると、バッテリーに戻らない電気が多く出てしまうのだ。
燃費はアクシオHVに若干劣るという順当な結果だった。これはフィールダーHVがアクシオHVに対し車重が40kg重く、空気抵抗も大きいという燃費に不利な要素があるためだろう。
トヨタ プリウス
最近「アクアよりも燃費は上」と言われることも増えているプリウスだが、今回のテストの燃費は最下位だった。
これはテスト車が最上級のGツーリングセレクション.レザーパッケージで、17インチタイヤを履く上に車重も1400kgと重かったためだろう。
ツーリングセレクションではないSもしくはGか、燃費スペシャルのLでテストすれば、逆転までは難しいとしてもカローラHV軍団との差は今回よりも格段に縮まるに違いない。
日本の国民車的な存在のプリウスながら、VWゴルフVIIに代表される同クラスの欧州車の猛攻勢の前ではHVであることと燃費以外の魅力は感じられず、地盤沈下は否めなかった。
一世を風靡した現行プリウスだが、次期モデルでは欧州車に乗っている人でも欲しくなるような強力な魅力を備えてほしいところだ。
総評
依然としてプリウスの実燃費の評判がいいこともあり、率直なところカローラHV軍団の燃費が予想外によかったことが意外だった。
しかし、全体的な質感は高くなく、装備内容も褒められたものではないことを考えると、割高なクルマであることは否めない。客観的に見ればサイズなどの制約がないかぎり、ベーシックグレードでもプリウスかプリウスαを買ったほうが満足感は高いだろう。
プリウスは値引きも拡大しているので、カローラHV軍団より安く買える可能性もある。そういった要素を総合するとカローラHV軍団はベストカー読者にはあまり薦められない、「カローラを指名買いする人向けのHV」と言えるだろう。
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)




コメント
コメントの使い方