自動車オークションサイト「Collecting Cars」には、新旧様々なクルマが出品される。しかし今回、筆者の目を奪ったのはなんと自動車ではなく、ランチア・ストラトスHFの1:1スケール彫刻作品である。三次元空間に制作された視覚芸術としての彫刻は、見る者を圧倒する存在感を放っている。
文:古賀貴司(自動車王国) 情報元:Collecting Cars
【画像ギャラリー】コレが900万円か!! たしかにリアル!! ワイヤー製本物サイズのランチア・ストラトスHFがスゴい(5枚)画像ギャラリー世界が注目する、気鋭のアーティストの作品
この作品を手掛けたのは、スコットランド・グラスゴーのマッキントッシュ建築学校出身の気鋭アーティスト、ベネディクト・ラドクリフだ。
彼は以前、”モダン・ジャパニーズ・クラシック”と題したスバル・インプレッサの実物大ワイヤーフレーム彫刻で一躍注目を集めた人物である。
その後、コム・デ・ギャルソン、プーマ、ポール・スミスといった一流ブランドからの依頼が殺到し、アート界での地位を不動のものとしている。
ラドクリフは鋼管を用い、すべての部品を手作業で曲げ、形作り、切断し、溶接する。彼は設計図やキットに頼ることなく、自らの目と感覚だけを信じて創作を進める。
満足できる形になるまで黙々と作業を続けるその姿勢は、芸術家と職人の両面を併せ持つと高く評価されている。
ラリーの歴史に名を残す、名車の中の名車を再現
今回彫刻の題材となったランチア・ストラトスHFは、ラリー界の伝説的マシンだ。1974年から1976年まで3年連続でワールドラリーチャンピオンシップを席巻した名車である。
さらにタルガ・フローリオやツール・ド・フランス・オートモービルでの5回の優勝、ジロ・ディタリア・オートモビリスティコでの3回の優勝など、その戦績は圧巻だ。
マルチェロ・ガンディーニによる「くさび型デザイン」は、発表から半世紀近く経った今も自動車ファンを魅了し続けている。
Collecting Carsに出品された鮮やかなイエローのストラトスHF彫刻は、細部まで緻密に作り込まれている。
ライト、スポイラー、ホイール、ドアはもちろんのこと、サイドミラー、ドアハンドル、フードバッジに至るまで完璧に再現されているのだ。
今回はストラトス、さて次作は?
4月24日に入札が締め切られ、自動車愛好家とアートコレクターによる熱い競争の末、この芸術品は5万5500ユーロ(約900万円)で落札された。
一見高額に思えるが、ラドクリフ作の1:1スケールポルシェ934彫刻が過去に20万ポンド(約3800万円)で取引されたことを考えると、むしろ掘り出し物だったのかもしれない。
なお、「Benedict Radcliffe」で検索すれば、彼のウェブサイト(https://shop.benedictradcliffe.co.uk/)から直接購入できる小型作品もある。
比較的手頃な小作品であれば、一般コレクターでも十分手の届く範囲だ。次はどんな名車が彼の手によって芸術へと生まれ変わるのか、目が離せない。
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