大変革期の只中にある自動車業界。いずれ自動車の主流は電気自動車になるとみられているが、そうなった場合、われわれカーマニアはどうなるのだろうか? 自然に「BEVマニア」へと変貌を遂げるのか、それとも滅亡への道を歩むのか!?
※本稿は2025年4月のものです
文:清水草一/写真:テスラ、BYD
初出:『ベストカー』2025年5月26日号
BEVがカーマニアを駆逐する!?
20X5年、ついにその日がやってきた。
内燃エンジン車の発売禁止はもちろん、走行まで全面禁止という、恐怖の大王が降りてきたのだ! 世界の自動車は、すべてBEV(バッテリー電気自動車)に統一されてしまった! ガーン。
いやもちろん、BEVの走りも気持ちいい。しかし、電気モーターには個性がない。
内燃エンジンみたいな高回転高出力型とか、低速トルク型みたいな特性はないし、ほぼ無振動なので、気筒数による音や振動の変化もない。
モーターは1個だろうが4個だろうが判別不能! 違いは加速だけだが、ただ速いだけってのはすぐ飽きる! そしてもちろんMTもない!
操縦性はどれもこれも低重心で似たようなもの。個性のないところに趣味性は生まれない。
カーマニアは隠れキリシンタンのように、内燃エンジン車を隠して拝もうと試みたが、AIによってすべて摘発された。絶望……。
●実現可能性
時期まではわからないが、いずれ世界の自動車のほとんどがBEVになる可能性は、かなり……いや、非常に高い。BEVのほうが断然エネルギー効率が高いからである(いまのところ生産段階を除く)。
しかし、内燃エンジン車が全面禁止になる可能性は低い。カーボンフリーのeフューエルが、主に航空機や船舶向けに大量生産され、内燃エンジン車も生き残るはず。ただそれは、高価なぜいたく品になるかもしれない。富裕層以外はカーマニアになれなくなる!?
ところで地球の電力は足りるのか?
自動車がすべてBEVになったら、電力が足りなくなって大停電が起きるのではないか、という説があった。
しかし現状、自動車がすべてBEVに置き換わっても、消費電力は1割増える程度。1割は大きな数字だが、致命的ではない。
それより問題はCO2を出す火力発電を全廃できるかだ。火力発電に頼る限り、内燃エンジン車を全廃しても意味はない。

















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