トヨタの粋な計らい!? 実はオーナー限定で「GR」の裏側が見れるのマジ??

トヨタの粋な計らい!? 実はオーナー限定で「GR」の裏側が見れるのマジ??

 GRヤリスとGRカローラ、そしてLBXモリゾウRRを生産するトヨタ元町工場内GRファクトリーの、オーナー向け工場見学会が解禁となる。「クルマにはストーリーが必要だ」とモリゾウさんは言うが、この工場にはまさにストーリーがある。

※本稿は2025年4月のものです
文:ベストカー編集部/写真:TOYOTA GAZOO Racing、トヨタ
初出:『ベストカー』2025年5月26日号

【画像ギャラリー】GRファクトリーの生産工程とGRファクトリーで生産されるラリーテイスト溢れる3台(24枚)画像ギャラリー

2025年1月にリニューアルしたGRファクトリーを見学!

GRファクトリーではラリーやレースで勝つためのクルマづくりが行われている
GRファクトリーではラリーやレースで勝つためのクルマづくりが行われている

 GRヤリスとGRカローラ、LBXモリゾウRRを合わせて1日に100台生産するGRファクトリーは特別な生産ラインだ。

 何が特別かと言えば、効率を追求した大量生産ではなく、変種、変量、新技術に対応できる(1)セル生産と(2)AGV(自動搬送車)を組み合わせた、ほかにない工程で作られているからだ。

 一般的な生産ラインでは、ベルトコンベアや吊り下げ式の大型搬送機を使ってクルマが作られるが、セル生産ではアンダーボディ溶接工程や足回り搭載工程といった生産単位ごとに分け、各セルに作業員が配置される。

 作業員は複数の工程を担当することになり、特定の製品や部品の組み立て作業を完結できるのが大きな特徴。そのためにベルトコンベアではなくAGVが使われる。

 組み立ての場合、ライン生産のように作業員は同じ工程を繰り返すのではなく、足回りなら足回りの工程に責任を追う形となる。

 1台を生産するための時間をタクトタイムと呼ぶが、GRファクトリーのそれは9分25秒。普通のラインは60~90秒なので圧倒的に長い。逆に言えば、時間をかけていくつもの部品を精度高く組み立てる技量が求められると言える。

ばらつきゼロへのこだわりが凄い!

足回りのアーム類は部品の穴の位置を測定し、ボディにマッチする部品が選ばれる。またブレーキ、ダンパーなども計測され左右のバランスがとられる
足回りのアーム類は部品の穴の位置を測定し、ボディにマッチする部品が選ばれる。またブレーキ、ダンパーなども計測され左右のバランスがとられる

 GRファクトリーの一番の見どころはばらつきを極限までなくすためにさまざまな手間をかけているところ。

 例えば足回りの部品を組付ける際、設計図どおりなら問題ないが、0.1mm単位でのズレが生じ、それがクルマの当たり、外れとなってしまうことがある。

 GRファクトリーではそのことを踏まえ、ボディを3次元測定する。さらに足回りのアーム類の穴も全数測定され、ズレにちょうど合うパーツを組み合わせていく。

 またダンパーやキャリパーといった部品も測定され左右バランスをとるというからハンパない。コンピューターで管理されるが、その数は約1万通りにもなり、最適な部品が選ばれるというから凄い。

 また通常のラインでは足回りの部品の取り付けは、組み立て作業の中盤に行われることが多いが、GRファクトリーの場合、操縦性や駆動に関わる取付精度がほかの部品からの影響を受けることを避け、最後に組付けられている。

 足回り部品の搭載は吊り下げて行われることが多いが、こちらも精度を上げるためにリフトアップしたボディの下に足回り部品を正確にセットし、ボディを上から丁寧に降ろしていくのもGRファクトリーの特徴だ。

見どころいっぱい! 3つの工程を見学

ボディ作りはアンダーボディにメインボディが組付けられるが、溶接箇所に合わせヘッドを自動で交換している
ボディ作りはアンダーボディにメインボディが組付けられるが、溶接箇所に合わせヘッドを自動で交換している

 今回解禁されたGRファクトリー見学会はオーナー限定となり、オーナーには通知がいき、希望者は予約を行う。約90分でボディ工程、組立工程、検査工程の3つを見学していく。

 ボディ工程ではアンダーボディやメインボディの溶接が見られる。

 アンダーボディにはノーマルヤリスの約20mに対し、約35mもの構造用接着剤が使われ、溶接ロボットが、溶接箇所に合わせヘッドを自動で交換しているところに注目だ。そしてボディは3次元測定で基準値からのズレを測定する。

 組み立て工程では、先ほども説明した足回り搭載工程や足回り部品の測定が行われる。フロントアームやリアアームなど、アーム類の穴の位置を全数測定しているところを見ることができる。

 そしてアライメント測定は、運転席、助手席、リアと3カ所にウエイトを置き、ラリーを走るような状態でアライメント測定が3回も行われる。

 その後、1周3kmのテストコースに出て、最高120km/hで走行し、直進安定性や車両の挙動、追従性などが確認された後、出荷されていく。

 愛車の生産工場を見たいクルマ好きは多いと思うので、GR以外にも増えていってほしい。

次ページは : GRファクトリーとは?

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