ラージ商品群投入で売上げを伸ばすマツダ……利益の伸びにブレーキをかける「長年の課題」

ラージ商品群投入で売上げを伸ばすマツダ……利益の伸びにブレーキをかける「長年の課題」

 2025年5月9日から14日にかけて、日本の自動車メーカー各社が2025年3月期(2024年度通期)の決算を相次いで発表した。現在、2030年経営計画を遂行中のマツダは売上げを順調に伸ばしているが、根強く残った「長年の課題」とは!?

※本稿は2025年5月のものです
文:井元康一郎/写真:マツダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年6月26日号

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マツダの2024年度通期決算

この難局でのかじ取りを求められる毛籠勝弘社長
この難局でのかじ取りを求められる毛籠勝弘社長

 収益力の増強を課題とするマツダの2024年度決算は増収減益。売上高は5兆189億円と同社として初めて5兆円ラインを突破した半面、営業利益は2023年度実績から26%減の1861億円、営業利益率は3.7%と低迷。高収益企業への脱皮はいまだ道半ばである。

 マツダは2030年経営計画を遂行中で、2024年度はその第一段階の最終年度だった。「CX-60」を皮切りとする高付加価値狙いの「ラージ商品群」の投入などで収益力の改善を図った結果、売上は順調に伸びた。

 売上高に対する製造原価は3兆9407億円。原価率は78.5%と、完成車メーカーの合格ラインである80%をクリアした。原価上昇のプレッシャーが著しい自動車産業において、いい戦いができていると言える。

 にもかかわらず利益が低水準にとどまっているのは、マツダの長年の課題である固定費の高さを解消することができていないからだ。

 粗利1兆781億円から差し引かれる人件費や販売費用は2023年の7881億円から8920億円へと増加。値引きなしの定価販売という戦略が北米の競争激化で崩れ、販売店へのインセンティブが1250億円も増えてしまったのが主因だ。

 ただでさえ高いと言われていた固定費が1割以上増えたのは痛手。決算発表では2030年経営計画の第二段階で固定費削減に改めて取り組む意向も示された。

 国内生産比率の高いマツダはトランプ関税がもたらす世界貿易の混乱の影響も大きく出る。さらなる経営改革が急務だろう。

マツダの2025年3月期決算
マツダの2025年3月期決算

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