ミライースが日本じゃ一番!? ペッキペキボディのクルマへの愛が止まらない件!!

ミライースが日本じゃ一番!? ペッキペキボディのクルマへの愛が止まらない件!!

 2010年頃からか、ボディに折り紙みたいに鋭いプレスラインが入ったクルマが登場してきた。単なるトレンドと思うかもしれないが、それだけじゃない。鉄や金型、プレス技術が進化してなきゃ、あんな造形、作れるわけないからだ!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:フォルクスワーゲン、アウディ、レクサス、ダイハツ

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やり始めたのはフォルクスワーゲン?

2005年にデビューしたB7系アウディA4。フロントライト目尻からテールに至るプレスラインのエッジの効きっぷりがすごい
2005年にデビューしたB7系アウディA4。フロントライト目尻からテールに至るプレスラインのエッジの効きっぷりがすごい

 個人的な興味で恐縮だが、筆者(編集部ツノダ)はペキペキのクルマが好きだ。そんな筆者の偏狭なメガネで見る限り、この造形を積極的に使い出したのは独フォルクスワーゲングループだと思う(間違いあればご指摘いただきたい)。

 傘下にあるアウディのA4を例にとると、2005年に登場した3代目モデルのボディ側面に、かなり折り目のきついプレスラインが入り、2008年に出た4代目では採用部位が広がった。ご本家フォルクスワーゲンでは2009年の5代目ポロあたりを皮切りに、ゴルフやティグアンなどへ、ペキペキなプレスラインが拡大している。

 最近ペキペキ化が激しいなと思うのはBMW。抑揚をどんどん省いて、ポリゴンボディみたくなった5シリーズは、もはや芸術的ですらある。次期3シリーズにも期待が持てる。

 ペキペキのトレンドは、もちろん日本車にも影響を及ぼしている。

 白眉はレクサスのISだろう。2013年に登場したレクサスISは、鋼板加工では限界ともいえるR3(曲率半径3mm)という曲げを実現するため、デザインから生産技術までが一体となって新技術を編み出した。血のにじむようなその努力の成果は、リアフェンダー手前のシャープなキックアップラインや、直付けリアスポイラーともいうべきトランクリッドのエッジに見ることができる。

 いっぽう筆者がすごいなと思えるのはダイハツのミライースだ。ボンネットからフェンダー、ドアパネル、リアドアなどありとあらゆるところにペッキペキなラインが入り、ボンネットバンの軽自動車としては圧倒的といえるほどの新しさを生んでいる。道ですれ違うためにうっとり見とれるほどだ。

鋼板組成やプレス技術の粋がペキペキボディ!

レクサスIS F。リアタイヤで蹴り上がるプレスラインとトランクフードのエッジがすごい
レクサスIS F。リアタイヤで蹴り上がるプレスラインとトランクフードのエッジがすごい

 手が切れるんじゃないか(切れないけど)と思えるような鋭いプレスラインだが、コルベットみたいにボディをFRP(強化プラスチック)で作るならいざ知らず、鋼板を曲げるとなるとものすごい技術がいる。それは前述のレクサスISでも触れた通りだが、素材とする鋼板の組成や金型の精度、プレス機の行程など、あらゆるところに最新のノウハウが求められる。

 もちろん技術的な意義だけじゃない。ペッキペキなプレスラインは、ボディにものすごくシャープな陰影を生むのだ。

 クルマのボディには常になんらかの光が当たっていて、クルマのボディ表面の凹凸はそいつを微妙に反射してデリケートな陰影を作る。地下駐車場などで蛍光灯に浮かび上がった愛車があまりに美しくて、惚れ直したなんて人は少なくないだろう。

 緩い曲げしかなかった時代は、ボディの陰影も比較的緩やかなグラデーション調の陰影に留まった。これはこれで美しく、十分に奥深いのだが、ペッキペキのプレスラインはここに刃物のような影を入れることに成功した。筆者はここに、ルネサンス以来の古典芸術に反旗を翻すキュビズム的変革を見るのだが、考えすぎだろうか。

 ペキペキボディはややもすると単調で、チープに見えるという人もいる。かくいうフォルクスワーゲングループも、最新モデルはペキペキラインを抑制する方向へ回帰したように見える。

 とはいえ筆者は鋼板ボディにおける一つの到達点として、ペキペキボディを評価せずにはいられない。「このクルマ、妙にかっこいいなあ」。そう思ったらどこかにペキペキなプレスラインがかくれていないか、チェックしてほしい!

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