新型エルグランドにも搭載!! 第3世代に進化したe-POWER!! 日産復活の起爆剤となるか!?

新型エルグランドにも搭載!! 第3世代に進化したe-POWER!! 日産復活の起爆剤となるか!?

 日産ハイブリッドの「お家芸」的存在であるe-POWER。搭載する車両は日本国内のみならず、ヨーロッパでも販売され高い人気を得ている。そのe-POWERが、さらなる燃費向上と静粛性向上を目指し第3世代へと進化と遂げた!!

※本稿は2025年6月のものです
文、予想CG:ベストカー編集部/写真:奥隅圭之、日産 ほか
初出:『ベストカー』2025年7月10日号

【画像ギャラリー】性能が向上した第3世代e-POWERを搭載!! 欧州でデビュー予定の日産 キャシュカイ(16枚)画像ギャラリー

日産車の中心を担うe-POWERが次世代型へと進化

第3世代へと進化を遂げたe-POWERが搭載される欧州向け日産 キャシュカイ
第3世代へと進化を遂げたe-POWERが搭載される欧州向け日産 キャシュカイ

 現在日本で日産車の販売の中心を担っているノートやセレナに採用されるe-POWER。

 いまさらながらおさらいをすると、エンジンは発電専用で、タイヤを直接駆動するのは電動モーター、というパワートレーンシステムだ。エンジンは物理的にタイヤとは接続されておらず、専らモーターを駆動するための発電機を回すのみである。

 エンジンはすべて直列3気筒で、ノートやキックス用には1.2L・NA、セレナ用には1.4L・NA、そしてエクストレイルにはターボが組み合わされた1.5Lの可変圧縮比(VC)エンジンが設定されている。

発電専用にエンジンを新設計し熱効率を向上

新型e-POWERを搭載したキャシュカイに乗ると、特に緩加速時にはエンジンの存在をほぼ感じないほどの静かさ
新型e-POWERを搭載したキャシュカイに乗ると、特に緩加速時にはエンジンの存在をほぼ感じないほどの静かさ

 今回「第3世代e-POWER」として新開発されたのは、欧州向けのキャシュカイ、北米向けのローグ、そして、日本向けには2026年度に登場する計画の新型エルグランドに搭載予定の直列3気筒、1.5Lターボエンジンによるe-POWERシステムだ。

 『第3世代』などと言うけれど、パッとひと言で説明できる、わかりやすい飛び道具のような進化の仕掛けがあるわけではない。

 直3の1.5Lではあるけれど、現在のエクストレイルや欧州向けキャシュカイに搭載されているKR15DDT型とはボア×ストロークも違えば、燃焼室形状も異なる。

 それにそもそも新型エンジンには可変圧縮比機構が採用されていないのだ。つまり、エンジンは完全なる新設計。根本的にゼロからエンジン作り直してしまったのだ。

 e-POWERエンジンが直接タイヤを駆動することはない。それゆえ、一般的なエンジン車が対応しなければならないエンジンの欠点をある程度無視することができる。

 例えば低速トルクは必要ないし、滑らかなドライバビリティを気にすることもない。高回転までエンジンを回す必要もないし、ピックアップに優れたレスポンスもある程度は犠牲にできる。

 e-POWER専用エンジンとすることで、効率よく発電機を駆動させ、モーターが必要とする電力を供給できることに全振りできるというワケだ。

 詳細なスペックは明らかにはされなかったが、新開発エンジンは超ロングストロークとし、吸気時に効果的なタンブル流を生成することで超リーンバーン運転を可能とするとともに、大量EGRを流すことで吸気損失や冷却損失を低減する。

 開発陣に話を聞くと、「常用域のエンジン回転は従来型よりも低いゾーンとしています。最高回転も低く抑えています」とのこと。

 エンジン回転域を低く抑えたことでピストンリングの張力を弱くすることが可能となったという。これが摺動抵抗を減らす。つまり低フリクション化に大きく寄与する。

 また、バルブスプリングの反力も弱められ、これもエンジンが回る際の自己損失の低減となる。

次ページは : 駆動ユニットの一体化&小型化で振動、騒音低減

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